ニュージーランドのおすすめスポット!暮らしの文化に根差すOp Shopをご紹介

国内外での生活
NZのop shopでの戦利品

ニュージーランドに住んでいた、と言うと

  • 人口より羊の数の方が多いんでしょう?囲まれて住んでるの?
  • ラグビーは女性でもやっているの?
  • マヌカハニー、安く手に入るんだよね?

などなど質問されます。確かにそうですね。どれも事実に基づいているし、ニュージーランドの細かい情報はあまり日本に入ってきません。住んでみるまで私も詳しくは知りませんでした。

そしてわかったこと。

  • 羊を全く目にしない生活をしている方も少なくない
  • 女性の場合ラグビーよりもホッケーの方が人気
  • 現地スーパーではマヌカハニーは置いてないこともある、置いてあっても品ぞろえは少しだけ

つまり「ニュージーランドのおすすめスポットと言えば○○」にバッチリ当てはまるものが案外少なく、日本人にとってニュージーランドを端的に表すものが意外とないことに気づかされます。

でも私にとってOp Shop(アプ・ショップ)は特別!!Op Shopとはリサイクルショップなんですが、ニュージーランドの文化や国民性を端的に表すもの、是非訪れてほしいおすすめスポットなんです!

日本のリサイクルショップとどう違うの?ニュージーランドらしいものと出会えるの?何がおススメなの?色々な疑問があるかもしれません。羊やラグビーよりも地元の人にとってははるかに暮らしに密着したお店で、お国事情や文化を反映しているニュージーランドのOp Shop について、紹介させてください。

ニュージーランド概要

Op Shopを取り巻く環境がわかると、このリサイクルショップの理解がより進むので、少し紹介させてもらいますね。

ニュージーランドは国土面積が26万㎢。日本が37.8万㎢。地図で比較します。以下の図は、左側が日本、右側がニュージーランド。両国のサイズを比較しやすくする便宜上、日本の右側にニュージーランドを並べたものです。

日本・ニュージーランド 国土比較

北島と南島からなるニュージーランドと、日本はどことなく形が似ていますね。面積比は、ニュージーランドは、日本の75%。日本全体から北海道と四国を抜いた面積。(北海道って日本の四分の一近くを占めていたんですね….)

ニュージーランドの人口は510万人、日本の4%。日本の都道府県別人口で言えば、9位の福岡県とほぼ同じくらいです。

面積
(千㎢)
人口
(百万人)
通貨
ニュージーランド263  51 NZ$
(70~80円)
日本378125
日本・ニュージーランド比較

以上、ニュージーランドの概要情報の一部ですが、それぞれOp Shopと関わりのある情報なのでのちほど改めて触れることにします。

(出典:StatsNz 2020年末、総務省統計局2021年8月1日、外務省)

NZの誇れる文化!Op Shop

Op Shopについて紹介します。”Op Shop”とは日本でいう中古のリサイクルショップ。「アプショップ」と読みます。Opportunity Shop の略称で、正式名称で呼ぶ人はお目にかかったことがありません。店名は個別にあり、Op Shopアプショップというのは、日本語で言えば「リサイクルショップ」という販売形態の呼称だと捉えてもらえると良いと思います。

日本のリサイクルショップと同じところは、個々のお店が独立運営であること。また、扱っている専門領域も異なることが多く、「書籍」、「衣服」、「雑貨」などと分かれていることです。

扱っているカテゴリー自体は日本と大差ないものの、現地生活ならではの品物ばかり置いてあるので、キッチン用品、小物、アンティークのものなど、その土地の暮らしの文化を感じるモノとも遭遇することもできます。これもおすすめスポットにする理由の一つです。商店やスーパーでお土産を買うのも良いですが、ローカル色豊かなものをお土産にするのも楽しいと思います!

一方で日本と異なるところはリサイクルショップの(大手)チェーンが存在しないこと。著しく異なるところは、店舗の大多数が非営利団体による運営形態であること。「チェーン展開されていた方が効率的なのでは?」「非営利団体によって運営されている?一体採算はどのようにとっているの?」などと経済的なことばかり考える自分を恥じることになります。

具体的な特徴を見ていきましょう。

運営の仕組み

Op Shopの運営形態は以下の通りです。

  • 店舗運営に関わる方々:全てボランティア
  • 物品:無償提供(=寄付、献品)
  • 売り上げ・収益:運営母体の活動資金源

日本では私の知る範囲では、リサイクルショップというのは営利を目的としていて、持ち込んだ古着や品物には二束三文であっても値段がつきます。一方ニュージーランドのOp Shopは、店舗運営スタッフさんが全てボランティア、物品提供が無償、売り上げが運営母体のサポートとなります。

物品寄付型のボランティア団体が増えつつある日本ですが、店舗という形態では見たことがなかったので、店舗を構えた慈善事業にちょっと驚きました。店舗のコストは高いというイメージがあるし、後で触れますが、Op Shopの店舗数も600店舗以上あることに正直未だに驚きです。

運営母体

Op Shopの運営母体は、宗教組織から支援団体までさまざま。

  • 動物虐待防止協会
  • 救急車の運営団体
  • キリスト教団体
  • 知的障碍者支援団体
  • 若年層精神病患者職業支援団体
  • ホスピス支援団体

なるほど、このような団体なら寄付の気持ちも手伝って買い物しても良いかな、という気持ちになります。これ以外の団体を含めて多くが社会的弱者救済やサポートを趣旨として活動しています。このように、Op Shopが社会全体が相互扶助の精神によって成り立っていることがわかります。

この相互扶助の精神が形になって活動されている、ということがニュージーランド人気質を端的に表しているように見えて、ニュージーランド文化に触れられるという意味からも、おすすめのスポットなんです。

一方で日本人は、困っている人を助けたい!と思う人もたくさんいるものの、目に見える形での活動を起こすまでに中々至らないように思います。人と違うことをしたがらなかったり、偽善的と言われたり色々と理由はあるでしょう。またコロナになった人を白眼視する傾向があったり、相互扶助精神が目に見える形で根付くのは難しいのかな~とやや寂しく思ったりもします。

さらに、チェーン展開しないことの非効率性や、採算が合わないのでは?と経済優先の発想でOp Shopの心配をした日本人の私。ニュージーランド人たちの良さをもっと見習わなければ!

店舗面積・店舗数

Op Shopの店舗面積は、私が訪問した店舗の経験からになりますが、コンビニくらいの広さです。狭いコンビニもあれば、広いところもあるように、Op Shopも広さは様々なんです。

NZ全体の店舗数は641店舗(2021年10月)。数字だけ見るとイメージが湧きにくいですよね?ニトリが日本全国で650店舗ほど、スシローが600店舗。これを多いと捉えるか、少ないと捉えるか微妙な数字だとは思いますが、家具屋でも飲食店でもコンビニでもなく、運営は全てボランティア。少ないとは言えないと思いませんか。

この641店舗を、別の見方をしてみましょう。ニュージーランド人と日本人の人口比率で換算してみて、日本ならば何店舗あるか?を考えるのです。先ほどお話した人口の比率から計算すると、日本に15,000店舗存在する計算になるのです。これまた大きい数でイメージがつきにくいですね(笑)

現時点の日本の店舗数の例を挙げます。

  • マクドナルド 2,900店舗
  • 本屋さんが10,000店舗を割り込む

一方で床面積が同じくらいの日本全国のコンビニの店舗数とも比較してみましょう。

つまり日本のコンビニがローソンのみ、というイメージで店舗数を捉えてもらえるといいのではないかと思います。

いかがですか?非営利団体のリサイクルショップにしては、結構多いと思いませんか?見つけるのに苦労しないと思われることも、気楽におすすめできる理由です。

販売価格(あくまでも参考)

Op Shopで販売されているモノのお値段はどれくらいでしょうか。

NZのop shopでの戦利品

こちらの写真に写っている2冊の本がOp Shopの戦利品!私が大好きなこの児童小説本、映画化もされてる世界的に著名なものです。この価格を例に話を進めますね。(2021年10月20日:NZ$=82円、丸めて80円換算)

“Charlie and the Chocolate Factory”、”Matilda”ほぼ新品の状態で購入。
@2ドル(=160円)
現地で購入すると定価では1冊 12ドル前後(≒1,000円)。
日本で買う場合(Amazon)、新品であれば1,000円を超えます。

単純に為替レートで換算しても、物価水準が異なると意味がないので、ここでは最低賃金を物価の比較基準として考察していきましょう。

NZの最低賃金時給は、2021年4月1日から20ドル(=1,600円)

日本は、2021年10月から全国の加重平均で930円(厚労省HPより)

1冊2ドル(160円)で購入した本を、最低賃金を基準に日本の物価基準に換算すると、93円相当と計算できます。中古本を扱っている日本の大手リサイクルショップを遥かに凌ぐ安さであることが、おわかりいただけますね。

※実はこの本の購入時レートだと1冊140円。(上述の物価基準だと81円相当!!)

他に比較できるようなものを購入していないので、あくまでも参考価格でご紹介しました。何となくですが、とても安く販売されていることがわかりますね。この安さ故におすすめスポットにしたくなるのもわかってもらえるでしょうか?

逆にこの安さで、店舗家賃や光熱費などの費用を差し引いた時、運営母体を支えるだけの利益があるのでしょうか。この疑問だけは解消されないままです。次回渡航する際は、ボランティアをしつつ台所事情を知りたい!と考えています。

クリスマス時期の気づかい文化”Donation Box”

相互扶助の精神が形になったOp Shop。これがニュージーランド人気質を端的に表している、という話を先ほどさせてもらいました。Op Shopから話が少し逸れますが、同じようにニュージーランド気質を表していると感じたものが、クリスマス前のDonation Box(日本語で言うと「献品箱」)。公共施設に段ボール箱が設置され、所得の低い家庭や子どもに贈られるので、食品や文房具がメインです。

滞在中に日本から尋ねてくれた友達からの日本のお菓子やエコバック的な袋をいただいたり、自身が日本から持って行って使わなかった文房具(海外に身を置くと日本製のものの良さを実感する!)など、クリスマス時期に献品しました。

ところが、クリスマスの時期にも小物のいただき物をしたり、滞在期間中の終わりまで使うアテがあったけれど結果的に使わなかったものなども結構ありました。捨てるのは惜しい!でも持ち帰るのは諸事情でムリ!こんな時に大活躍してくれたのが、Op Shop。

ゴミにならず、誰かの役にたつかもしれない、そう思うだけでもOp Shopは私の救世主!!献品したものは、NZでしか使えない家電製品(電圧が日本と異なる)、洋服、ブーツ、ポーチ(新品)、小物類(新品)、生理用(未使用)など。

私の活用法から、過去への反省、未来への期待

Op Shopで購入したものは実際ほとんどなく、献品という形で関わることが大半でした。それでもニュージーランド社会に貢献する一員として感覚があったことはすごく嬉しかったです。

私は社会人になってから、10回ほどの引っ越し歴があります。それらを振り返る時、捨ててきた数々のものに対し自責の念を覚えています。そもそも買わない、という決断ができなかったし、売ったり譲ったりの手間をかけたくなかったことは私の怠慢ゆえ。そしてゴミとして処分してきた数々のものは環境破壊の片棒をかついでいるわけです。

自分の購買行動の問題は少し横において、もしOp Shopのような仕組みがあれば、新品でものを買わずに済んだかもしれないし、その中古で買ったものならば捨てても新品で買うときほど罪悪感はないはず。それに、迷わず寄付できます(状態が良ければですが)。

ニュージーランドでは、モノをとても大事にする思想、誰かの役に立つシステムが文化としてしっかりと根付いていて、長年確立されてきていると肌で感じました。このシステムは、モノを手放す人には罪悪感を減らし、買った人にもお得感があり、運営側にも益にもなる、そして世の中からゴミを減らすという四方良し!が成立している素晴らしい循環システムだと思います。

日本のメルカリも捨てずにリユースという観点では優れたシステムです。でも、物流コスト、物流業者たちの労働環境悪化、物流のための排ガスという環境への影響を考えると、マイナス要素も計り知れないと思うのです。

SNSの若い世代の発信を見ると、日本は未だに大量生産・大量消費が社会の主流のように見えます。ゴミは減りそうもない一方で、若い世代のSNSを使った社会問題解決や、弱者救済策も実際には増えているのを見ます。

Op Shopのような形態にこだわらないけれど、日本にも相互扶助精神が普及する仕組みがほしい、そしてOp Shopに負けない日本文化の香りがする「日本のおすすめスポット」ができてほしい!と切に願います。

ネーミングセンス

ところでこのOp Shopの名前を私は気に入っています。由来である Opportunityって意外とセンスの良い言葉なんですよ!

opportunity
1. 有利な条件[状況]
2. 良い機会、好機、チャンス

英辞郎on the web より
  • 売る人にとっては、捨てるより譲るという「好ましい機会」
  • 買う人にとっては、運が良ければ掘り出し物に巡り合う「好機、良い機会」
  • 運営側にとっては、売り手・買い手の双方をつなぐ場という「素晴らしい機会」を提供し、売り上げによって運営母体が利益を享受できる「チャンス」もある

Op Shopが三方よしの概念によって成り立っていることを端的に示しているし、みんなに福をもたらすようなイメージもある、ネーミングセンスあると思いませんか?

アメリカのリサイクルショップは”thrift shop” と呼ばれていて、似たような形態で運営されるところもあります。このthrift=倹約、節約 という意味で、買い手側の都合、経済的な便益でこの名前が語られているように思えるのです。いかにも合理主義、経済優先主義のアメリカらしくて、それもまた微笑ましいですが(笑)

気質的に穏やかで弱者への配慮がある、環境への意識が高い、ニュージーランド人気質をOp Shopは代弁しているのです!

まとめ

Op Shopのあるニュージーランドと日本の比較から始まり、運営に関すること、ネーミング、私個人の購買行動の問題?まで、色々とお話させてもらいました。Op Shopがニュージーランドの暮らしの文化に根差していること、私のイチオシの理由、お分かりいただけたでしょうか。

なお、この記事を書くにあたり、ニュージーランド在住日本人のブログを参考にさせていただきました。

OP Shopって知ってますか?

☆ニュージーランド通信☆より

またゴミ問題について、台湾のゴミ収集事情からもお話しています。良ければコチラをどうぞ。

最後にお尋ねします。

日本の消費・購買行動、環境問題、社会の相互扶助について考える機会はありますか?
ニュージーランドのおすすめスポット”Op Shop”に足を運ぶ気になりましたか?

この記事をきっかけニュージーランドのリサイクルショップ、消費社会、相互扶助の精神について、思いをはせていただければ嬉しいです。

みなさんに素敵な op =opportunity が訪れますように!

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