英語の発音は必ず上達します!そのメリットと学習法

発音って大事! 英語学習
発音って大事!

英語の発音っていいに越したことはないけれど、それよりも相手とコミュニケーションがとれたり、楽む方が大事では?

これは日本人、ネイティブスピーカー問わずよく耳にします。

この話、半分は賛成できません。

発音が上達したら、英語に自信を持ち、英語の楽しさの幅をひろげ、英語好きになることにつながって、良いことしかないからです。

発音の練習は能力とか記憶とか必要ありませんが、休むと途端にパフォーマンスが落ちます。

実は筋トレみたいなものなんです。

今回は、その発音が良いことで得られるメリット、逆に悪い場合に有り得るデメリット、そして学習方法の紹介する中で、筋トレとの共通項などをお話ししていきます。

「英語は発音よりもコミュニケーションを取れる方が遥かに大事。」と決断するのは、最後まで読んでからでも遅くないですよ!

私が発音にこだわる理由

発音はいいに越したことはないけれど、費用対効果に合わない。点数化されづらいし、実際に英語を話す機会も日本にいるといまのところない。

一理ありますが、私は強いこだわりを持っています。

二つ理由があって、あとで話をする発音が良いことのメリットと深く関係することでもあります。

  1. コミュニケーションがより円滑になる
  2. 日本人の頑張りの方向の偏りを解消したい

それぞれお話します。

コミュニケーションがより円滑になる

100%ネイティブにならなくても、発音に独特のクセがないことで、ずいぶんコミュニケーションってうまくいくよね、と思う経験をたくさんしてきました。

私は父の仕事の関係でアメリカで過ごしましたが、その父の発音がめちゃめちゃ悪い。

アメリカ在住時は、父の英語は何を言っているのか聞き取り不能状態なこともしばしば。最後まで聞く気にならないことがどれほどあったことか😢

また、父のような現地駐在員たちだけでなく、日系人たちの中にも、かなり発音の悪い方が多かったことを記憶しています。

こども心に理解の域をはるかに超えて大きな衝撃と謎でしかありませんでした。

今でも発音にクセのある人の話を最後まできちんと聞くことは、決して得意ではありません。

でも、日本語話者にとって英語を学ぶこと、またその逆の場合も膨大な時間がかかるほど、両者の言語が異なることを、学び、謎が解けました。

同時に、母語と異なる言語の発音を習得する際、大人より子どもの方が遥かに負担が少なく、一定年齢を超えるとハードルが高くなることを、脳科学で研究されているようです。

それを知っても、苦痛が完全に解消されたわけではなく、ネイティブたちも実は心のどこかでは、私のように、癖の強い英語の発音に対して好意的には捉えていないかもしれない、と思えるのです。

英語でネイティブの人とコミュニケーションをとっていて、満面の笑みで応じてくれたら、「あ、自分の英語通じる、もしかして発音イケてるかも?!」と捉えるのも無理はありませんが、鵜呑みにするのはちょっと早計です。

特にアメリカ南部など、異なる言語と国境のある州ではノンネイティブの英語に対して幼少期からノンネイティブの英語を話す人たちへの耐性があります。

だからこそ、わかりづらい英語に対して「何言ってんの?理解不能!」「辛抱して耳を傾けてあげている。」といった露骨な態度や感情を決して表に出しません。

その場を楽しくさせるすべを教育によって子どものころから身に着けているのです。

詳しくは書きませんが、英語ネイティブたちの「スマイル」の背後にあるものを私は、彼らから見聞きしてきました。相手への気遣いや配慮のある文化もあり、その場の雰囲気づくりをソツなくできるのです。

意外かもしれませんが、彼らは場面によっては日本人以上に空気を読むことさえあるのです。

ほとんどの人が日本語ネイティブである日本という国に住んでいると、英語圏のこのような想像しにくいシチュエーションかもしれません。

以上のことから、英語の発音がよいことは、健全で、よりよいコミュニケーションにつながると経験上確信していて、発音にこだわる価値は大いにあると思うのです。

次に二つ目の理由をお話します。

日本人の頑張りの偏りを解消したい

日本人は、ヨーロッパ圏の人たちと比べて、英語に膨大な時間、お金、労力をかけていて、涙ぐましいほどなんです!!

ところがその頑張りが、偏っている。

発音が悪いことは外国人にも知られています。だからこそ、この発音がよくなることで英語力が劇的に上がると信じているんです。

では、なぜ発音がよくならないのか。詳細は別の機会に譲りますが、理由を簡単に言うと以下の三つです。

  1. 英語と日本語の違いの大きさ:他言語と比べても、日本語は文法面だけでなく、発音面においても、かなり英語と距離があるのです。発音の習得は難易度が高く、時間も労力もかかるのです。
  2. 日本文化:発音よりも、「読み」「書き」を学問として重視するのは、日本人が日本語を学ぶ上では歴史的背景もあり、またある程度理にもかなっています。それを外国語にあてはめてしまったことで、発音がないがしろにされているのです。
  3. 教育システム:学校における英語の役割は様々あります。その中の一つである「生徒評価」が優先され、長いこと「読む」「書く」最近では「リスニング」に重点が置かれています。つまり、ペーパー試験として成立しやすい形での英語教育が施されているのです。これに付随して指導者(人材)不足もあるのです。

この2、3に登場する、「書く」と言う文言に少し注意が必要です。

正確には「正しい文法」・「正しいつづり」で「書く」ことを指しています。この後で登場する英語4技能の学力分析結果に登場する「書く」とは異なります。

表現力、作文力、総合的な運用力を必要とされる「書く」力をつけるのはどの言語でも決して容易ではありません。

以上3つの要因のため、多くの日本人は高校卒業までに、1,500時間を英語に使い、塾やオンラインといったその他の学習も合わせると、時にはこの何倍もの時間を費やしていても、なお、「話す」ことが上達しない、引いては発音も上達しないのです。

このことを端的に示す調査結果があります。

文科省の調査結果からわかること

平成29年度に文科省の英語学力調査をしました。その結果による数字を以下のように4技能のバランスを視覚化した図を作成してみたのでご覧ください。(詳しくは平成29年度英語教育改善のための英語力調査 事業報告の「高3の概要より」)

文科省:平成29年度英語力調査結果(高校3年生)

この結果から読み解けることをまとめます。

「読む」「聞く」に対し、「書く」「話す」(←特にこちら)の学力が著しく低い。

「読む」が高い理由

学校で一番重点的に指導しているからで、逆に言うと、試験の配点の高い分野であるともいえるからです。

採点もしやすいのが読解問題の特徴でもあります。

「聞く」が高い理由

センター試験の英語でリスニング問題が導入されたから(2006年1月~)です。

リスニングテストの「傾向と対策」に慣れると、”試験では”高得点をとれるようになる特徴があり、指導側もそちらに力を入れるようになっています。

こちらも採点しやすいのが特徴と言えます。

「書く」が低い理由

調査で出題された問題は、文法やつづりの正しさを求めるものではなく、① テーマに沿って意見を述べる問題や、② 聞いた英語を要約する問題 であり、総合的な書く力が試されるものだったため。

学校では母語でもこのような学習をしっかりとする機会が少ないように感じており、まして英語では指導者側のスキルや力量が問われ、かなり現実的ではないと考えています。

とはいえ、本来「書く」力とはこのようなことを示すものでもあるのです。

なお、学校で指導されていないような問題が調査の際に出際された理由は、この調査基準がCEFRという、外国語レベルの判断基準とする指標に則っているためです。

(CEFR:EUが域内の共通指標として使っている言語運用能力の判定基準。外国語能力のスタンダード)

「話す」が低い理由

この理由は「読む」力が高い理由とちょうど真逆。

入試において試験されないため、学校でも試験がない、あるいはあっても配点が低かったり評価に影響が小さかったりするケースが圧倒的多数です。(※東京都では、今年度つまり2024年実施高校入試から話すことも都内の公立高校に導入予定となっています。)

必然的に一番指導が手薄になるところになるわけです。

「話す」が低い理由はわかりますが、具体的に「発音」と関わる調査結果を見ていきましょう。

調査で出題された問題は3つの力を問うものに分かれています。

  1. 適切な発音、リズム、イントネーション、速度、声の大きさで話す力
  2. 問われた質問に即座に答えられ力
  3. 与えられた話題について論理的に説明する問題

このうち、2と3については、「書く」のところでも述べたように、現時点では学校での学習機会や指導者側のスキルの課題があり、生徒に力を定着させるのに現実的ではないと考えています。

そして今回のテーマである発音と深く関わるのが1.であり、大多数の生徒において

「最後まで読めてはいるが、正しく発音できない単語がいくつかあったり、イントネーションやリズムが適切ではない」

という結果が出ています。

つまり、発音に関するところも学校での指導が行き届いていないことがわかります。

この文科省のデータとは別に、社会人を対象としたデータで、TOEICとVERSANTという試験を比較して、日本人の「読む」「リスニング」力に対して、「話す」力が弱いことを示すデータもあります。

学校を卒業してからもお金、時間、労力を英語に投資し、涙ぐましいまでの努力を重ねる人が決して少なくない日本人。

この英語力の凸凹の凹んだところを埋めることで、日本人の英語力ってかなり強力になれる!!

それにはまずは発音を大切にすることから、英語の頑張りが偏らず、バランスよく力をつけていってほしい!!

私の思いはそれとして、発音が良いことで具体的にはどのようなメリットがあるのか、見ていきます。

発音が良いことの3つのメリット

発音良いのは、めっちゃかっこいいし、伝えたい単語や文を正確に発音できるのは、ストレスフリーで気持ちが良い。

もちろん、それも大事。それ以外の実践的なメリットもあります。

  1. リスニング力向上
  2. つづりとの関係強化
  3. コミュニケーションの円滑化

今回お伝えするのは3つ。それぞれ紹介していきます。

1.リスニング力向上

え?スピーキングではなく、リスニング?

はい、リスニング力です。でも、先ほどの文科省の英語学力調査結果ではリスニングは高得点だったはずでは?

そうなんですが、実際外国人と対面した時のリスニング力と、試験時のリスニング力はかなり異なるんです。

実はTOEICで高得点をとっても、英検1級合格しても、ドラマやニュースを聴きとれない、という人は少なからずいるんです。それは、

「しゃべることのできない言葉は、聞き取ることもできないから。」

同じ日本語でも地方の方言を聞き取れない、まねできない、理解できないことってありませんか?

自分たちがまずしゃべれたら、どれも大体できるんです。

リスニング力を上げようと、”〇〇時間リスニングマラソン!”、”CNN聞き流し”、”洋画を字幕ナシで繰り返し観る”、”お気に入りの洋楽を聴きまくる”など聞くことをメインに取り組む人をたくさん見てきています。

もちろん大事なことですが、その前に「自ら正しく発音ができている」ことができて初めてこういったリスニングシャワーには効果が表れるんです。

それを知らずに、いろいろなものを聞き続けてリスニング力上がらない~😢とお悩みの方がいるとしたら、まずは音読。それも正しい発音で音読することをおすすめします。

以上より正確な発音に取り組むことで、リスニング力は必ず上がるのです。

つづりとの関係強化

正確な発音ができると、つづりとの関係が強化されるのです。

アルファベット一つずつの文字には音があり、また、文字の組み合わせによっては一定ルールの音があります。

詳しくは別記事に書かせていただいていますので、そちらもお読みください。(『英語フォニックスは子どもから大人までおすすめ!メリットを徹底解説。』)

それらを正確に発音できることで、つづりとの関係が理解でき、単語を耳にしたときに、つづりのイメージがわいてくるのです。

逆も然りで、つづりを見たら正確な発音ができるようになるのです。

これができると、他人との意思疎通をとてもはかりやすくなるんです。

二つの日本文を例に説明します。(※標準語の場合です)

  1. 「テーブルにあるはしを使って下さい。」
  2. 「道のはしを通って下さい。」

どちらの文も「はし」を含んでいます。

この正確な発音を耳にすれば、音を聞いただけで、漢字の1.「箸」 2.「端」のどちらかが即座に理解できる。

「箸」と「端」では発音が異なることが、漢字を見ただけでわかる。

このようなイメージなのです。

発音が正確だからつづり(この例でいうと漢字)も正しくイメージできる、書けるようになるし、知らない単語を耳にしても、つづりのイメージが何通りか湧いてくるでしょうし、発音だけでもマネできるようになります。

つづり(ここでは漢字)がわからなければ、尋ねればいいわけです。ちゃんとした発音で質問ができれば、正しい答えが返ってくる確率も上がります。

発音の良いことが、コミュニケーションの円滑化につながっていくわけですが、実はよりリアルな円滑化が図れる場面について次でお話しします。

コミュニケーションの円滑化

コミュニケーションの円滑化によって、たくさんの情報が入ってくる可能性が高まるんです。

発音が悪くても通じるし、コミュニケーションがちゃんと取れることももちろんあります。

でも、そういう場面ばかりでもない。むしろ通じずに誤解を生む状況は、案外多いのです。

問題なのは、誤解されているという当人の自覚がないこと。

相手が疑問に思っても聞き返すことを面倒くさがってやり過ごしたり、ノンネイティブ同士の場合は特にお互い誤解したまま話がかみ合わずに何となく変だな?と思いながらその場を過ごす、みたいなケースは多々遭遇してきました。

また、発音の悪さゆえに、あの人は何を言っているのかわからないので、話しかけるのを最低限にしておこう、と思われてしまったら、大事な情報を受け取れない可能性も出てきます。

情報があれば、仕事で大きなチャンスを得られるし、事前にミスを防げるかもしれません。また色々な機会を楽しめると思うのです。

また、発音がいいと、日本人にも外国人にも「どこから来たの?」「留学してたの?」「何年勉強してるの?」「帰国子女なの?」などと驚きの質問をされることが少なくありません。

嬉しくなって、褒めてくれた相手を好意的に捉え、その結果、人間関係にプラスに働きます。

正しく発音することはコミュニケーション上とても大事で、巡り巡って自分にプラスの形で返ってくる可能性が高いのです。

発音メリットのまとめ

以上3点、1.リスニング力向上 2.つづりとの関係強化 3.コミュニケーションの円滑化 を発音メリットとしてお話してきました。

これらのメリットは、必ず自信につながります。

自信がつくことで、英語で会話をする際、相手と対等に話をすることができるようになります。これは、人間関係の最も根幹に関わる部分です。

「通じるかな?大丈夫かな?」とおっかなびっくり、時にはパニックで話していては余裕がありません。

会話することに自信と余裕があれば、相手の立場や気持ちを楽しくすることに配慮することできるわけです。

そうなると相手も喜んでくれて人間関係が深まって、ますます会話が弾む、そうすると、いろいろな英語表現が学べる、場合によっては思いがけない良い情報までもらえる、と好循環が生まれるのです。

一石三鳥です!

ではどうすれば正確な発音に近づけるのか、というお話に進みます。

英語を正しく発音するために

発音の学習法について、以下の4つのポイントを簡単に説明していきます。

  1. 日本語と英語の違い
  2. フォニックスルールの理解
  3. 速度より大事なもの:明瞭な発音でつなげること
  4. イントネーションの獲得

1.日本語と英語の違い

英語と日本語との大きな違いが大きく分けて2つあることは、この先3つお話しする発音練習の大前提として知っておくと、取り組みやすくなります。

  • 肺活量:英語はたくさん空気を吸ったり吐いたりして、使います。
  • 筋肉量:英語は口の周りだけでなく、目に見えないのどの筋肉も使います。

大声を出したり、呼吸の音を相手に聞かせるほど激しくはありませんが、驚くほど疲れる作業になる場合もあります。

ここが本当に大事なポイントになります。

カタカナで発音が定着している場合、ネイティブのような英語を発音するのが難しいのは、この2点を知らないから、ということもあります。

確かに発音のクセを直すのは大変なのですが、このクセが「楽な方に流れるクセである」ということをまずは理解します。

実は日本語の発音は英語と比べて楽なんです。空気をたくさん吸うことも吐くことも英語に比べてかなり少ないし、筋肉もほとんど使わない。

それに対して英語はものすごく空気の吸う、吐くは多いし、筋肉もとても使う。一説によると、4倍とか、5倍とか。

英語を30分話し続けると、私の感覚では日本語の3倍くらい疲れます。つまり日本語でその3倍の1時間30分話しているのと同じ感覚になる、ということです。

声の大きさの問題では決してありません。もちろん、空気を使って筋肉を使う分、声量が大きくなることは事実としてあるのですが、日本語で大声を張り上げている時の感覚とは全く異なります。

それがわかったところで具体的な学習法のポイントに進みます。

2.フォニックスルールの理解

英語には一文字ずつ音があり、2文字(時には3文字)を組み合わせた音も存在します。

この法則をフォニックスと言います。

これらの文字と音の法則性を理解することで、2つのことが達成できます。

  • 初めて見た単語を発音できる
  • 耳で聞いた単語をつづれる 

以上の2点を見てお分かりかもしれませんが、フォニックスルールがわからないと正確な発音ができない、というわけではありません。

ただ、一緒に取り組んでおくことで、文字と発音の関係性の理解が深まり、つづりの強化、未知の単語でも音読できるようになったりと、総合的な英語力の向上にもつながります。

そういうわけで、発音練習とセットで取り組むことで、時間や労力を節約できて効率的な学習となるのでかなりお勧めです。

大人で英語を既に学習している人であれば、1ヶ月~半年くらいで感覚としてつかめるので、大変なことはあまりないのですが、発音が正確になるまで特に時間がかかるいくつかの母音と子音、その組み合わせの音があることに注意が必要です。

その厄介な発音学習の過程でもれなく必要となるのが、先に前提でお話しした、「たくさん呼吸を使い」、「たくさん筋肉を使う」こと。嫌でも実感することになりますが、いったんコツをつかめば、そこからの上達は必ず早くなります。

より詳しい話は、別記事『英語フォニックスは子どもから大人までおすすめ!メリットを徹底解説。』をお読みください。

3.速度より大事なもの

次に英語の発音上達法のポイント二つ目。これは、明瞭な発音で単語同士をつなげる意識です。

英語は速く話せればかっこいい、速度を上げればOKと思っている人はとても多いです。

明瞭で正しい発音、文脈や文法上区切るべき場所などを把握した上で話さない場合、理解されないということも。これではカッコいいどころではない残念な結末です。

車掌さんが社内アナウンスを英語でしてくれるとき、あまりの早口に、実は英語で案内していたと気づくのにしばらく時間がかかることが何度もあります。内容もほぼ理解できません。

例えカタカナ読みであったとしても、ゆっくり話してくれたらまだ分かったのではないかと思うのです。

車掌さんは一生懸命、でもアナウンス対象の乗客はメッセージを受け取れていない。もったいないなと毎回残念です。

カタカナ読みでもあっても、と先ほど書きましたが、英語の文章を発話する上で聴きやすい英語は速さよりも明瞭に発音して単語をつなげること

9語から成り立つ文章があるとしたら、9語を別々にきれいに音読するのではなく、1かたまりの単語であるかのように発話するのがコツ。

ゆっくりで全くかまいません。試しに、以下の例文で「正確な発音」を同じ条件として比較します。

 He died of cancer at the age of 71. (彼は71歳で、癌のために亡くなりました。)

一つ一つを区切る、早口の場合

ひとかたまりにしてゆっくり発音する場合

いかがでしょうか。最初の早口の方は、一生懸命話しているのはわかりますが、ぶつ切りなので、聴きづらいと思うのです。

一方で、後者はゆっくりですが、アクセントをはっきりさせているので聞きやすい。

なぜつながる方が聴きやすいかというと、英語のアクセントが母音にあり、単語末尾の子音を弱く読む傾向が強く、単語の終わりの次の単語の初めの母音や子音と重なる傾向の強い言語だから。

これは日本語を発話する際に全くない概念なので、みなさん最初はとても苦労されるところですが、根気よく続けていれば、必ずできるようになります。

ここが筋トレと同じところですぐには効果が表れないのです。

何よりも「発話する」ということは、それを「受け取る相手がいる」ということであり、内容を的確に受け取ってもらえることがその発話行為の目的だと思うのです。

もどかしくても、発音練習は時間をかけて丁寧に努力した分より遥かに大きな見返りがありますよ。

4.難易度高い!イントネーションの獲得

以上、正確な発音とする上での学習ポイント、「筋肉と呼吸を使うこと」「フォニックス理解」「明瞭な発音でつながること」のお話をしてきましたが、この先にお話しするイントネーションの獲得、ということが意外と難しい。

日本語より大げさに強弱をつければいい、疑問文は全て語尾を上げればいい、といった、イントネーション(抑揚)を独自ルールでつける人も中にはいますが、それは完全にNG。

誤解の元になりかねません。

単にネイティブのモデル音声をひたすら真似ていく、そしてその回数やバリエーションを増やしていくだけ、と言えばそれまでなのです。

しかし、ネイティブスピーカーでも人によって若干異なる抑揚のあるところもあり、混乱することもあるため、どのモデルを真似るかを見極めることができないとやる気を失うこともあります😢

また、モデルにする教材のバリエーションも、ニュース、YouTubeの解説動画、TEDTalk、映画やドラマの登場人物と色々ある上に、それぞれ難易度も異なります。好きだからと言って取り組んだものの難しい…と撃沈した生徒さんも見てきました。

自分のレベルとマネするレベルが合えば、ネイティブの個人的にはこの「モノマネ」学習こそが語学「楽習」の醍醐味だと思っています。

基礎的な発音、正しいモノマネ方法を理解した上で成り立つ学習なので、それだけ注意はしましょう。

これについては詳しくは別記事として掲載予定にしているので、お楽しみに!

さて、ここまで正しく発音するための学習ポイントを説明しましたが、次に、英語の発音で苦労したという実体験に根差した発音矯正アプリを開発した人のお話をします。

発音を上達させたい人のニーズに応えたサービスを提供しているので、詳しくみていきましょう。

発音アプリの開発者は〇〇出身!?

発音アプリ”ELSA(English Language Speech Assistant)”開発者、ヴェトナム出身の、Vu Vanさん。

起業の原点は、英語の発音が悪さゆえに、大きな精神的ダメージを受けた経験です。

発音の悪さが決定的な出来事にならずとも、それで嫌味を言われたり、理解されないことで傷ついたり…大なり小なり外国語学習者ならあることでしょう。

それ以外の英語力が高ければ、なおのこと悔しい思いをされるでしょう。

ご紹介するVu さんは、まさにそのような背景をお持ちでした。

Vu Vanさんの話は端的にそれを示します。このアプリのユーザーは4千万人を超えています。(2022年5月時点)

ELSA社長の苦労話

Vu Vanさんの原体験

彼女の起業の経緯から、こちらの発音アプリのメリットもお分かりいただけるかもしれないので、要約します。

  1. 高い英語力の持ち主:ヴェトナムで生まれ育ち、英語に高額投資をし、並みのアメリカ人より読み書きは優れていると自負
  2. 衝撃的な出来事:博士課程取得のためにスタンフォード大学に留学。授業で自分の発言のあとに全く同じコメントをしたクラスメートが先生から褒められ、それ以前に発言した時に自分はスルーされたという衝撃的な出来事が!!その理由は人種差別か発音の悪さ。どっち?!
  3. 過去の記憶:思い返すとクラスメートからも何度も聞き返されたり、理解不能と言われることが度々。発音の悪さはコミュニケーションの取りづらさ、引いては人間関係にまで影響を及ぼすことを痛感。
  4. 発音指導料の高さ:スタンフォードで発音矯正の指導者は1時間100~200ドル(13,000~26,000)。経済的負担の大きさもさることながら、費用対効果の確信もできない。これは致命的!
  5. 留学生共通のお悩み解決に乗り出す:お金のない留学生にとって、お財布に優しく、確かな効果が獲得でき、手軽、という発音指導サービスの必要性を感じて起業。

全く同じ経験した~!!という人が、日本人ならずともいるのです。

また、開発者がネイティブスピーカーではない分、かゆいところに手が届くサービスを提供してくれそうです。

アプリの特徴

1分41秒あたりから、このアプリの説明をしているので、以下に簡潔にまとめます。

  • 色々なクセのある英語を理解してくれる
  • 間違えの箇所をピンポイントで指摘してくれる
  • 指摘した間違いの改善方法をくれる(速度、アクセントの強弱、舌の動かし方など)
  • 苦手分野の提示
  • 長期的観点で、取り組む道筋の提示
  • 携帯なので対人コミュニケーションと比べて気楽に取り組める

中々良さそうですね。好意的にコメントしている記事も見つけました。『ELSA Speak Pro の料金プランを解説 | 永久会員がいちばんお得!』

ここでは、永久会員プランを一番推奨しています。

発音の習得には年単位かかることを、VuVanさんご自身が身をもって体験されているわけです。そしてまたこのサイト運営者ご自身も、です。

発音の習得に長期的な取り組みが必要なところに、筋トレとの共通項があるのです。

  • すぐには習得できない
  • 時間より頻度や回数が大事
  • しばらく休むと力が落ちる

実際のELSAのウェブサイトが日本語にもあったので、よければご参照ください。(ELSA speak

アプリも使いつつ、実践も必須

実は発音矯正アプリの使用経験がないので、個人的におすすめできるアプリがありません。

とはいえ、どの発音矯正アプリも共通して

  1. 隙間時間にできる=練習頻度を高められる
  2. 安価
  3. 緊張せずに済む

という3拍子がそろっていて、これを使わない手はありません。

先ほど筋トレの例でお話しした通り、発音練習は頻度が大事なのです。頻度を上げるためにオンラインレッスンを、15分という短時間であっても朝・晩、週に5~6日を年単位で継続することってあまり現実的ではないですよね?

アプリなら手軽に頻度上げられます。

どのアプリから始めたらいいのかわからないという人は、ネット検索し、始められそうなもの、予算にあったものから取り組んでみて、続けられそうなものから試行錯誤してみる価値はあると思っています。

発音矯正アプリだけでは限界も。

発音については、かなり特徴を拾ったり間違いをしてきするのが得意なアプリでも、実践のコミュニケーションで本当にその発音が通じるのかはわかりません。

アプリではOKだった単語が実践では意外と通じなかったり、逆にダメだしだらけだった単語が、相手に通じることもあるでしょう。

本当に正しく発音できているかどうか、実際にコミュニケーションをしながら確認することに勝ることはないのです。

例えていうならば、発音矯正アプリは筋トレの道具、対人コミュニケーションは(練習)試合・大会。どちらも大事です。

アプリとは言えないかもしれませんが、個人的におすすめなのは、お金やDLの手間暇のかからない携帯に入っている録音機能(アプリ?)。

そのやり方は別記事で少し紹介しているので、良ければ参考にしてください。『こどもの英語が伸びないのは積み上げ不足?英語力向上の習慣と方法を解説!』

まとめ

以上をまとめます。

  • 発音にこだわるには、コミュニケーション向上に役立つことと、日本人の頑張りの偏りを解消したいから。
  • 文科省の調査結果以外にも、「話す」力の弱さがデータで示されている。:まずは発音から取り組んでみては
  • 発音がいいことのメリット:1.リスニング力の向上 2.つづりとの関係強化 3.コミュニケーションの円滑化 この3つが合わさることで自信につながること
  • 英語を正しく発音する4つのポイント 「肺活量と筋肉量の日英の違い」「フォニックスの理解」「速度より、明瞭な発音でつなげる」「イントネーションを”楽”習する醍醐味」
  • 英語の発音の苦労体験者にが開発した発音矯正アプリの紹介:特徴としては1. 間違いの具体的理由の提示 2.長期的ビジョンで取り組む計画を提示 3.具体的な間違い箇所の指摘
  • アプリとともに、実践練習も必要なこと

発音って想像以上に奥が深い!でも取り組む価値はあると思っていただけると嬉しいです。

発音が良いことで得られるメリットは、場合によってはお給料に跳ね返るかもしれないし、お金に換えられない周囲からの信頼や尊敬、人間関係の構築かもしれない。

発音と同時にリスニング力が上がることで、聞き返したり調べたりという無駄な時間も無くなる可能性もある。

良いこと尽くしなんです。

英語にマジメに取り組んでいる人たちこそ自信を持って英語とつきあってほしい!!

そこに必要なものは、能力ではなく「正しい」努力だけ。

「発音よりコミュニケーションが大切」という他人のセリフを鵜吞みにし、発音の優先度を無条件に下げてもいいのか、考えてみる価値はありますよ!

発音について相談ありますという方、どうぞコメント欄よりご連絡ください。

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