期間の設定?!子どもが英語嫌いになる原因と解決策。

英語学習

英語を習っている小学生が英語を好きになれない、苦手意識を持つことはよくあること。

英語教室を次々と渡り歩かれて、教室への不信感をお持ちの親子も少なくない。

お教室、親子のどちらが悪いという問題では全くありません!!

恐らく原因は「目標設定」と設定した目標達成までの「期間設定」が明確ではないこと。

「期間設定」とは、時間を区切ってあげること。

手帳やカレンダーを利用して目標までの時間を視覚化することで子どもも取り組みやすくなるんです。

それが成長や成績の向上につながり、自信もついたり、英語嫌いのリスクも減ったりするのです。

今回は、適切な「期間設定」に関して、そのメリットと「英語嫌い回避との関係」について、より具体的にお話ししていきますね。

期間設定と切り離せない「目標設定」については別記事で書かせていただいています。

合わせてご参照ください。

『子供の英語目標の具体例!英語嫌い回避のカギ、目標の設定方法を考察』

「苦手」・「嫌い」でもOK!そこから問題に向き合いましょう

まず、そもそも苦手、嫌い、と言っていることは、実は特別なことではありません。

日本語は他の言語(特にヨーロッパや南米の言語)と比べて英語との隔たりは(言語観乖離と言います)、ものすごく大きいからです。

英語を母語とする人が、ヨーロッパ系の言語を一定レベル習得するまでの時間と比べると、彼らが日本語を習得するには、4倍以上時間がかかるという統計もあるほどです。

(詳しくは『米国国務省「外国語習得難易度」で日本語が最高難度にランクイン』をご参照ください。)

むしろ子どもが英語を嫌がる理由は、日本語の言語能力が年齢よりもかなり高いから、ということもあり得ます。それだけ英語との違いが感覚的にとらえられるからです。

でも、親からしたら、お金も時間も投資したのに、嫌いなんて….と、その事実に蓋をして問題の先送りをしたくなっちゃいますね。

でも、大丈夫!大人だって苦手、嫌いなものはあるのです。そして、一生続くと決まったわけではありません。

その根拠は次の通り、

  • 子どもは心変わりしやすい
  • 声かけや、やり方次第で嫌いでなくなる可能性が高い

嫌いというから教室や先生を変えてみた。ところが、あれ?対して変わっていない??ということはよくあること。

じゃぁ、いつ心変わりするの?どんな声かけしたらいいの?

その前に、嫌い・苦手と言っている子どもの根本的な原因を理解することが大事。

なぜなら、嫌いの本質を理解して初めて周りの働きかけ(声かけ、状況など)を変えられるから。

そこで初めて上達への道を歩み始めることが可能となるのです。

もちろん、先生やお教室との相性が英語嫌いの原因となる場合もあります。

でも、経験上多くの場合は次の4つに集約されるように見えるんですよね。

嫌いの4つの原因

子どもたちの英語嫌いになる多くの原因は4つ。

  • 何のために英語学習(教室通い)をしなければならないのかわからず、面倒くさい(目標・目的不明瞭)
  • いつまで英語学習(教室通い)が続くのかわからず、しんどい(期間、無期限?)
  • (頑張っているのに)親からダメだしを受ける、友だちと比較されて気落ちする(自己肯定感の欠落)
  • やっていることがわからないけれど、何がわからないかを言語化できない(レベルの不一致)

初めの二つの「期間と目標が不明瞭」は対になっています。「いつまでに」「何を達成させるか」と視覚化できるのは、子どもにはとてもわかりやすく、大事な要素です。

声かけの内容も、「〇月頃までに」「△△を達成したいね」「どれくらい進んでいる?」と変えることができます。

ま3つ目の「自己肯定感」について、子どもの場合はその後の親子関係や人格形成にかかわる部分ともなるので、疎かにはできません。

4つ目の「レベルの不一致」は、視覚化できないのが難しいところですが、嫌がる理由として必ず存在します。

子どもは経験値も言語化する能力も低いので、つらく感じるところでしょう。

ところで、実はこの4つともがすべて該当するケースもあります。

そうなったら嫌いになるな、という方が土台無理な話。

こうなると、坊主にくけりゃ袈裟まで…という状態は小学生アルアルで、「先生・教室が嫌」「友達が嫌」ならまだしも、「テキストに出てくる登場人物が嫌」となるケースまで!!無理もありません💦

しかし、そこが本当の問題ではないので、真に受けてはいけません(笑)

この中で、後半二つの「自己肯定感」と、「レベル不一致」の話については、また別の機会に譲ることにしますね。

今回は、4つの原因うち「期間」について焦点を当てていますが、次に期間設定しないとなぜ嫌いにつながるのかという話に進んでいきます。

期間設定がないとどうなるの?

結論から言います。期間設定があることで、自分の立ち位置を客観視できるメリットがあり、ないと時間軸がないため、モチベーション維持どころか、ダダ下がりする可能性も。

やる気のない状態で英語学習に取り組んだ先に待っていることは….「英語嫌い」かもしれません。

少なくとも好きになる要素は見当たりません。

教室通学の場合(期間設定なし)

具体的に、小学生が期間設定をせずに英語学習に取り組み続けた事例を、英会話スクールなどでの経験をもとに簡単に紹介します。

例)ネイティブとの会話ができるようになれば、と週1回の英会話教室に通い始めた小学3年生。

  1. 最初の1ヶ月~数ヶ月:新しい交友関係づくり、日本人とはおよそ異なるフレンドリーで高いテンションのネイティブの先生からの刺激を思う存分楽しむ。
  2. 数ヶ月~1年:慣れてきて、だんだん生活リズムの一部になってくる。出された宿題も、翌週のレッスン直前に10分程度で片づける。
  3. 1年~:刺激もなくなり、惰性と習慣で通学する子ども。親の方は、あと少し時間がかかるだけと淡い期待を抱きつつ、学校での英語の成績が特別いいわけではない、という現実にモヤモヤ。

3.の後は、お教室を変えて同じように1.→2.→3.コースを繰り返すネガティブスパイラルに陥るケースすらある。

教室通いの限定的な例でしたが、この親子がどこに向かっているのか、方向性を見失っているようにはたからは見えます。

見失った先に、「英語は苦手」という意識が芽生えて嫌いに進んでいってしまうわけです。

親子ともいい加減で不真面目だからでは?と思っていたら、それは大間違い!!

ほとんどのケースは、非常に常識的で、至って真面目に取り組んでいる人たちが多いのです。

このように困っていることはレアケースでは決してなく、比較的よくあることです。

自宅学習の場合(期間設定なし)

自宅での英語学習も様々なケースがあるので、ここではオンライン学習を想定します。

ここでも期限がないことで起き得る問題を見ていきましょう。

  • まずはオンライン環境を整えること(PCは誰のもの?どの部屋を使う?イヤホン、マイクも用意?)
  • レッスンの予習復習など学習の面倒を誰がどのように見るのか?(教室でも起き得る問題)
  • 生活との境やケジメをつけられる?

最後の「生活との境」については、特にレッスン後の余韻なくして、日本語モードにすぐに切り替わってしまうと、せっかく鍛えた英語脳が瞬時にして衰えてしまう残念なことも。

場所が変わることで、脳のスイッチを変えやすくなったりするものなんです。

教室通学と比べると浮き彫りになってくることが、大人側が準備・段取りすることが色々あること。

家族の配慮が必要なことがわかります。

期間がないことで、家族の協力がいつまで必要とされるの?!と関係メンバーたちの不満が一気に爆発する可能性も否定できません。

結局のところ

教室通学でも、オンラインでも、期間設定がないことは、提出期限のない宿題が次々と山積みになっていくような状態と同じ。

楽しい夏休みも、40日間と期間が決まっているから、山のような宿題も1日の徹夜で片づける?!という人も存在するわけです。

一夜漬けの良し悪しは別として、夏休みの期間が決まっているからこそ、『いつまでに提出する』『どれくらいの分量』の宿題があるか把握できるわけです。

結果、現時点で(夏休み最終日であっても)自分がどれほど課題に手を付けているのか(あるいはいないのか)が把握できるのです。

期間がないということは、自分がすべきことは明確、でもそれを『いつまでにすべきか』が決まっていない、引いては現時点の自分の立ち位置も決められない状況。

英語へのモチベーションも上がらないし、好きになる要素がそこには非常に少ないです。

そして、問題の根深いところは、英語のモチベーションが上がらない、好きではない、という自覚がないことです。期間を設けないので、根本的な問題を先送りできちゃう状況にあること。

気づけば「英語嫌い」になっていたりするのです。

いつまでに目標を達成したい?そのためには、今日、今週、今月何をしたらいい?

期限を設けることなくレッスンを受けるだけでなく、このことを一度考えてみる価値ありそうですよね?

そして英語嫌い回避につなげていきましょう。

どうやって期間を設定する?

今設定している目標に対して、その達成までに必要な期間を仮に設定してみましょう。まだ目標設定がされてなければ、ここで何か目標を考えてみます。すべて家庭の話ですから、気楽に考えるだけでOKです。

どうしても思い浮かばない、という方のために、具体例を提示してみますね。

期間設定の具体例1(長期→短期)

小学校4年生、英語学習歴ゼロ(学校の授業のみ)。

  • 目標:中学英語の先どり
  • 期間:小学校卒業するまで(3年間)
  • 学習環境:週1教室通い+家庭学習

ここから3年後を見据えた英語学習を開始させることがわかるので、そこから逆算して次のように期間と目標設定をしてみます。

3年後:中学英語の網羅、英検4級満点合格

2年後:中1英語の網羅、英検5級満点合格

1年後:中1の2学期まで英語網羅(4技能すべて)

ここで、あれ?英検合格って目標にないけど?中学英語網羅したら英検3級じゃないの?と疑問に思うかもしれません。

はい、実はここで書いていないことが一つ。実は目的

目的:中学校生活で急増する教科負担を軽減するため、英語嫌いを回避し、学校生活をスムーズに過ごす

こういうものがあります。英検合格を目的にしていないので、受験はしても、しなくてもOK。

でも、短期的な目標があった方が、モチベーションアップにつながりそうなときは、設定します。

無理なく設定することで、この試験の下位級では満点合格を着実に狙えるし、むしろその方がメリットが大きい。

英語の基礎力の徹底もできるし、満点での合格は本人の自信にもつながる、そうなったら、英語嫌いから完全に脱却です。

同じ受験料を出すなら、メリットがたくさんあった方がいいですよね?

今回の事例では英検受験を含めましたが、本人が希望しない、あるいはメリットが少なそうな場合は目標に含めません。代わりに達成度や定着度を図る何らかのテストに置き換えます。

逆により高いレベルの3級にチャレンジしたい、という希望があればそれも応援します。

こうなったら、英語嫌いって何?ですよね。

こんな感じで希望に合わせて変えるのもアリです。計画していても途中でやめるのもアリ。設定だけしておけば、フレキシブルに対応する余裕もできるのです。

さて、長期間の設定から少しずつ現在に近づけた期間や目標の逆算来の期間設定に細分化していく設定法を見ていただきました。

次に逆のパターンを見ていきます。

期間設定の具体例2(短期→長期)

そんな先を見越した設定ムリ!

もしかしたら海外に引っ越すかもしれないし、中学受験するかもしれない。

近い将来の期間設定はどうするの?とお思いの方のためにもご紹介します。大サービス(笑)

同じく、小学校4年生、英語学習歴ゼロ(学校の授業のみ)。

  • 目標:アルファベット習得、簡単な単語の定着
  • 期間:とりあえず数ヶ月
  • 学習環境:週1教室通い+家庭学習
  • 目的:英語に親しむ、英語との相性確認、嫌いにならない

このような背景のもとで、以下のような計画を立てられます。

  1. 1ヶ月後
    アルファベット26文字の発音が完璧+それに応じて単語も正確に26~60個習得+簡単な会話2文程度。※フォニックスの習得
  2. 3ヶ月後
    正確な発音指導、追加で単語100個を完璧+10くらいの簡単な会話やフレーズを習得。
  3. 4ヶ月目~半年後
    中1の1~2学期レベルの会話+CD付きの外国語学習者向けの簡単な絵本。
  4. 半年~1年
    5か月目ころから改めて設定。興味ある分野の単語、会話、中1レベルの会話、英検5級など。

フォニックス:音とつづりの法則性を理解することにより、①初めて見た単語の発音ができる ②耳で聞いた単語をつづれる の2点を目的とした音声学習体系

1.の単語26個は、アルファベットの数に応じた単語数で、その倍以上の単語は1ヶ月あれば確実に憶えられます。発音は一番大事なところで、学校での指導が非常に手薄になるところなので、最初の数ヶ月は徹底します。

ここで英語の一番土台となるフォニックスが定着すると、英語を読める楽しみを味わえるので、英語嫌いから大きく一歩離れることになります。

baseball のつづりを「ばせば11」と憶える、という笑い話がありますが、そのレベルから最初の1ヶ月で脱却することは英語の好き嫌いを隔てる大きな役割を果たしていると感じます。

2.の単語100語の内訳は、フォニックスの原則から発音できるようになる単語数+それとは無関係で、数字や果物など、身の回りの単語を学習していきます。

合計で160ほどの単語を憶えると、それだけでも自信につながり、また英語嫌いから一歩離れていきます。

実はこれは親戚の子の例なのですが、いつ辞めてもいい、という前提でスタートしたため、こんな感じで短期目標を常に作っていくような形でしたが、気づくと1年半。

ラッキーな機会に恵まれたこともありますが、英語ネイティブの外国人たちの前で、パワポを使った自己紹介プレゼン+QAセッションをするまでに至りました。

子どものモチベーションやスゴイ度胸に感心しきり。大人の思惑をはるかに超えた例です。

とはいえ、この本人曰く、未だに英語は好きでも嫌いでもない。(もっと好きになってもらえるよう、レッスンの工夫に頭を使っていますが….)

しかも、中学受験をする予定でいつでも辞めていい状況はますます迫ってきているので、英検受験は全く念頭にありません。

英語嫌いを回避すべく、大人たちは成り行きに任せて見守っている状況です。

期間設定のポイント

以上二つの例を見てきましたが、好みと目標に応じてそれ以外の方法で期間を設定してもよいですよ!

ポイントを挙げるとすると以下の通りになります。

  • 目標と期間のバランス
    目標に対して長すぎても、短すぎてもいけない
  • 視覚化
    子どもがわかるように視覚化してあげる(カレンダーや手帳利用のススメ)
  • 柔軟性
    達成できなければ修正すればいいだけ。達成に執着せず、柔軟な発想を持つこと

特に最後が一番大事。真面目であればあるほど、設定した期間内での目標達成にこだわりがちで、思うようにいかない現状に大人サイドがストレスを抱えてしまいます。

現実との折り合いをつける余裕を常に持つこと、それを子供に見せることが大事で、この英語に対する柔軟な姿勢こそが、嫌いな気持ちの芽を摘むことができます。

大人がストレスを抱えると、当初の目標達成(中学英語網羅)どころか、目的(中学英語の先取り)からも遠くはなれて、ますますストレスを抱えることに!

そうなると、子どもは追い立てられるように英語に取り組まざるを得なくなり、英語の負担感が増し、英語嫌いに….???

多少大人の思惑から外れても、子どもは思わぬ時に想像以上の力を発揮するもの。

人生は長く、いくらでも修正は利きます。目標の未達成など、かすり傷にもならない。大枠イメージだけでOK!として、とにかく英語嫌い苦手意識を回避していきましょう。

狙いは英語以外でのメリット

目標を持ち、期間を決めてそれを達成させる(またはできない)経験をすることは、めちゃくちゃ大事。

私は英語に限らず学習の最終目的ってテストや学校に合格することではないと考えているからです。

メリット1 向上につながるもの

物事を習得する際に、子どもから大人まで共通している大事なことは、目標・期間設定し、達成に向けたプロセスにこそ習得の本質があると信じています。

  1. なぜ達成できたのか、あるいはできなかったのかを考える
  2. じゃぁ次はどうする?この先の目標&期間設定
  3. できなければまた修正
  4. このプロセスが昨日の自分より一段上の成長につながる

この4つのプロセス、勉強だけでなく、クラブ活動、スポーツ、社会に出た時に仕事に取り組む際にも是非役立ててもらいたい!と切実に願っています。

花巻東時代に大谷が立てた目標シート

参考までに….大谷選手は高校の3年間でこんな目標を立てたことで有名な表です。

メリット2 楽しいもの

実用面にばかり目を向けていましたが、やはり英語を習得する上では楽しみも必要!

目標と期間を設定した後は、達成した暁に、どんなお祝いをするかを話し合ったり考える未来予想図を描くことって、学習を楽しくしてくれるものです。

もし設定期間より前に達成できたら喜びもひとしおですしね。

逆にまだ達成していない段階でも、勝手に前祝しちゃうのもアリですよ!

どんなお祝いやごほうびを用意するかは、周りの大人の大事な仕事の一つかなと思います。

どんなに完璧な目標と期間設定をしたところで、所詮はこども。自分でモチベーションを維持・管理などできる方が極めて少数。

お祝いでもご褒美でも、うんと褒めてあげるでも、子どもってそういうことがあると頑張れちゃう!

メリット3 大人の勝手な願い

最後のメリットは、完全に大人の、そして私のエゴ。

子どもの万人に当てはまることではなく、求めすぎてはいけない願い、ということ念頭におきつつ読み進めてください。

英語に関してですが、妥当な期間と目標設定に設定しても、到達できないことは比較的多いです。

多くの場合、週1回の英語教室に通っている”だけ”だから。

先週やったことが定着てきている状態で翌週のレッスンに臨む、という形が英語力の定着・向上には必要なワケです。そのために、宿題があるのですが、たいていのケースは惰性で取り組む(笑)

この期間設定をすることで、大人の力を借りなくても、「あれ?もしかして復習って大事だよね?」と自覚することも時にはあるんです。

子どもの性格や年齢にもよるので、期待してはいませんが、想定外のタイミングで想定外の生徒がそれに気づく時があり、私にとってはそれこそが英語上達よりもうれしい瞬間なのです。

このような(日々の)着実な努力の積み重ねで何かを達成していくことの体験、目標と期間設定することの大切さは、人間の成長に大切なもの。

スポーツの方が視覚化できる分このような仕組みは理解しやすいと思います。

英語を通して目的を持ち、目標と期間設定を計画することを大事にしつつ成長をしてくれたら願ってもないことです!!

期間設定を誤ると…

さて、期間設定の大事さはわかった!でもやみくもに設定すればいいわけではないことも薄々感じている。

その通り。この設定期間、間違っていたらどうなる?というお話です。

目標に対して期間設定が不適切な事例をご紹介します。

  1. 英語力の向上・・・半年~1年は様子見が必要なところ、数ヶ月、時には数週間で辞めてしまい、英語教室を転々とするケース。
  2. 検定試験対策・・・半年~1年くらいかけて英語の4技能がまんべんなく定着させ、余裕を持った合格が狙いたいところを、2ヶ月で済ませるケース。
  3. 英語を楽しむこと・・・続く限り2~4年など。英語で歌う、踊る、工作する…といった楽しさは半年経たずして飽きるケース。英語力はつきません。

なお、2の検定試験対策について注意が必要なので、詳しく書かせてもらいます。

2ヶ月で済ませたら不合格なの?と尋ねられたら、答えはNO.

ただ、このケースで問題なのは、合格が目標ではなく目的化してしまうことが多いこと。何が問題なのかと言うと、以下の3点が往々にして見られることです。

  • 目的達成したので英語そのものへの意欲を失う
  • 集中し過ぎてエネルギーが枯渇する
  • 短期でつけた英語力は短期で落ちる

合格の賞状を手にした瞬間はうれしいけれど、その後の英語に対するアプローチがかなりおろそかになってしまっていることのどれだけ多いことか!!

英語が好きという状況ではないですよね。合格を手にした検定試験受験者のうち、半分くらいは苦手意識で占められているのではないかと思います。

中にはこれで解放される、というほど嫌いになっているケースも少なくない、と経験則から予想できます。

もちろん色々なケースがあるので、短期合格がNGと言っているわけでは決してありません。

時には、短期合格こそコスパ・タイパ(時間対効果を意味する”タイムパフォーマンス”)を兼ね備えていて最優先事項である、英語は数値化してナンボ、合格が次のステップに必須(学校入学に関わる)、ということもあります。

話はガラリと変わりますが、大学入試受験を回避すべく、最近の大学入試は推薦やAO入試が以前より好まれ、同じ理由で、また大学付属の中高への入学が好まれる傾向があります。

大学受験という短期決戦(1~2年)のつらさや、集中度合い、費用対効果を得られないと感じていることの表れではないかと自身の経験を振り返っても共感できるし、むしろ歓迎すべき傾向だと感じています。

大学受験の勉強自体はとても意義があり、一生続ける価値のある内容もあるのに、受験勉強に疲れ切った学生たちは、試験が終わったらその後一生見受験時代の学習内容には見向きもしないケースも少なくありません。

実際に東京大学に通った友人曰く、「入学後に感じたことは、半分くらいは気力を失っている学生で占められていた」とのこと。

つまり東大入学者のうち半分くらいは、勉強がそんなに好きではない、ということの裏返しです。

話を戻すと、英検の短期決戦で合格を勝ち取ってそのまま英語の勉強へのモチベーションが下がることって、この大学受験で疲れ切っている学生たちと共通していると常々感じているのです。

話が少し逸れましたが、目標に合わせて無理のない期間設定をすることが英語嫌いを回避できます、というお話でした。

期間設定なんてムリ!?

いやいや、期間設定なんて、ムリ。

  1. 英語教室に通う期間を限定するということ?
  2. 目標は立てたけれど、その達成にかかる大事な期間を自分たちで決めるということ?

1.については、期間が終わって辞めてしまったら、周囲から取り残されてしまう”かもしれない”し、通い続けて先取りすることで他教科の負担を軽くできる”かもしれない”し、みんなより優位に立てる”かもしれない”。

確かに心配ごとは尽きません。でも「かもしれない」レベルで、それは現実に起きていない。

もしお子さんが少しでもネガティブな気持ちがありそうな場合は、できるだけ早めに期間を区切ってあげることをおすすめします。

なぜなら期間設定なしに「何とな~く」通い始めた子どもが「何とな~く」続けていくうちに芽生えるネガティブな気持ちを見て見ぬフリしたら…

せっかく子どもの将来のためを思ったことが、かえって子どもを傷つけることにもなり得るから。

「心配していることの9割は現実として起こらない」のだそうですが、私はこれは本当だと思います。

期間設定していた方が、親子で①いつまでに ②何をやる が明確になり、そのメリットの大きさは計り知れません。

嫌がり始めた子供を前に、目標がなければ、あと1ヶ月(~半年?)、通いきること!と期間と目標を設定してもいいと思います。

期限を設けるなんて発想は、小学生にはゼロですから、大人に区切ってもらうことで負担感が激減するかもしれません。

そうなると英語への苦手意識は減り、それによって継続へつながる可能性も高くなるのです。

一方で上述の2.適切な期間など、自分たちでは見当がつかない場合もあるでしょう。それについては次でお話しします。

プロを頼りましょう

先ほどもお話ししましたが、期間設定の見当がつかない場合は、プロ、つまり通われているお教室に相談されることが一番です。

インターネットにも情報が豊富です。オンラインで英語のコンサルやコーチングをしてもらえる時代です。

グループレッスンを主体とする英語の教育機関は、中々個々人のコンサルティング対応に至るまで細かく融通が利かせられない場合もあります。

でも根気よく尋ねてみるのもアリです(笑)

何から何までお膳立てしてもらわなくても、相談にのってもらう中で「この先は自分で決められる」という妥協点が見つかる場合もあります。

カルチャースクールメソッドを参考にしよう!

唐突な話に聞こえるかもしれませんが、カルチャースクールのことを少し思い浮かべてください。期間、回数、内容、日程が予め明示されていますよね。

これって、そもそも大人が興味を持っていて、でも好きか嫌いかわからない、という状況で申し込むことが多いですよね。

この大人向けのシステムが子ども向け英語教育産業には見当たりません。

だからこそ、カルチャースクールの良さ、つまり期間設定のメリットを、お子さんの英語学習に適用して、学習スケジュールをカスタマイズしてみる価値はあると思うのです。

好きか嫌いかわからないけれど、何となく興味を持っているうちに、先手を打って、英語が楽しくない、上達しない、嫌い、などと言っていられない状況(=期間を短めに、目標も低めに設定)を作るのです。

教室を変わる時にもメリット

引っ越しなどでやむを得ずお教室を離れなければならないときもあります。

また、諸事情により変わることを決められるとき、以前のお教室と同じかそれよりサービスが欲しいですよね?

でも、それを判断する材料こそが、目標設定と期間設定に関係します。

以前のお教室にどれくらい通われ、何を目標としていて、その達成度合いがどれくらいだったのか?

これらをしっかりと把握できていると、次のお教室を探しの際に有用な情報として働くのです。

新しいお教室に相談にいく際、その情報を開示することで、こちらのニーズ(達成したい目標と期間)を把握したサービスをしてくれるのか、できないのか、の判断材料になるからです。

ニーズに合ったより良いサービスを受けられそうならば、お教室を変わるメリットもあるでしょう。

こちらのニーズに合っているのに、英語が嫌い、苦手、と子どもが言い出す可能性って低くなるはずです。

まとめ

以上を振り返ります。 

  • 英語嫌いの原因は「適切な期間設定がない」「適切な目標がない」ことが大きい
  • 期間設定の方法2つ①長期的視点を先に決めてから、逆算して、直近の目標を決める ②①の逆で、直近目標を積み重ねていく目標設定法
  • 期間設定は視覚化しにくいので、なくても問題意識が芽生えない
  • 期間設定法の具体例2つ、①長期的視点⇒短期目標 ②短期目標⇒短期目標⇒・・・⇒短期目標
  • 期間設定のポイント3つ 「目標とのバランス」「視覚化、可視化すること」「柔軟性」
  • 期間設定を誤ると、英語へのモチベーションが落ちたり、嫌いになるケースもあるので注意。
  • 適切な設定がわからない場合は、プロかの助言に頼ったり、カルチャースクールのイメージを描くことをオススメ。

これ以外にも、期間設定の英語以外のメリットがあることもお伝えしました。

何となく英語教室に通い始めることって全然OK!(←日本語的におかしいですが…)

英語が嫌い、英語に苦手意識を持ってしまうこともOK!

でも、それらを認めて、設定期間なり、目標なりを、その時々で修正すれば良いだけのこと。

その「修正すればいいだけ」が時として英語学習よりも難しかったりするんですよね💦

そう、でも難しいからこそ、とりくみがいがあるんです!

さらにそこに完璧な答え、唯一の正解もないんです。

英語に苦手意識を持ち、嫌いになる多くの残念なケースを見てきて思うのは、期間設定の欠落も原因の一つだと感じてきたので、このテーマでお話しさせていただきました。

最後に

最後になりますが、この「期間設定」なしに「曖昧な目標」とともに、「何となく通い続ける」消費者心理を熟知しているからこそ成り立っている英語産業のビジネスモデルも見てきました。

残念なことです。英語力向上とか、英語を好きになってもらいたいという純粋な気持ちの優先度は低いからです。

一方で、私はみんながみんな、英語を無理に好きになる必要はないとも思っています。

もちろん、好きになってほしいです!でも、人の好みはそれぞれなんです。だからこそ面白い。

最近の若い子の韓国語を独学で習得する意欲やスピードは本当にすごいエネルギーで尊敬します。

ただ、好きなものばかり食べていると体調を崩すのと同じで、バランスよく食べること、そして時には嫌いなものも必要なんです。

  • 嫌いな感情を否定せず、原因を探り、食べずに済むなら食べない。余計なストレスはかけない。
  • どうしても必須の栄養素ならば味付けや調理法を変えたりして、食べられる道を模索する。
  • 薬をのむよりマシと捉えたり、代わりの栄養素のあるも食べ物で替える。

つまり究極の話、英語の代わりに他の言語を学んだり、スポーツや音楽など、他の何かに取り組むことで人生の課題を解決できればOK、と思うのです。

これって大人も全く同じですよね?掃除機が苦手だから拭き掃除だけする、ルンバを使う、お掃除業者さんを頼む。

英語も全く同じ。

英語を嫌う本当の理由は何でしょう。

お教室や先生の問題なのでしょうか。

その英語学習はいつまでに取り組みますか。

英語学習を回避できる方法はありますか。

答えは無限大。

英語と無理なくつき合いを続けるためにも、期間設定の方法も含め、苦手・嫌いな気持ちやその原因に丁寧に寄り添いませんか

時間を費やしているのに、効果が出ない、自分の能力が低いからだ~なんて悲観している時間はモッタイナイ!

面倒くさい気持ちをちょっと乗り越えたら、きっといいことありますよ!

もしご相談があれば、コメント欄よりお送りくださいね!

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