「英検は何歳から受ける?子どもの受検対策と注意点を徹底解説!」

英語学習
英検何歳から受ける?

「○歳で英検✕級合格!」、「英検△級、最年少合格!」、「小学生で英検1級合格!」

などを耳にして「我が子は…」と焦る親御さんもいらっしゃると思います。確かに魅力的な言葉で、我が子がこの中に含まれていたら誇りに思えることなのかもしれません。

でも、実はこの言葉の背景にある大事な事情を理解しておいた方が良いし、英検対策や合格してからも注意すべきことがあります。

「何歳から英検受けた方がいいのか?」「そもそも受検の必要はあるのか?」「我が子は英検に落ちたんだよね」などと疑問や、焦り、お悩みのある方に対し、焦らなくても大丈夫!ということなどを注意点と合わせてお話します。

英検は何歳から?

英検の受検ははどの級の受検であっても10歳以降からの受検が良いと考えています。理由は3つあります。

  1. 受検することのストレス耐性がある
  2. 受検結果の情報を理解できる
  3. 目標(合格)への意識がもてる

詳しくはそれぞれこの後お話させてもらいますが、話の前提として、英検に限らず外部の検定試験を受検をしたことがない、受検の必要に迫られていない、受検の明確な目的が特にはない、というケースで進めていきます。

そういうわけで、もし、10歳未満であっても本人が受検に対して意欲的だったり、本人の意思に関わらず10歳以前に英検取得が必要に迫られる場合、そしてモノは経験!とりあえず受検させてみたい、ということであれば、以下のお話は参考程度に留めて読み進めてくださいね。

なお、子ども向けに英検Jr(ジュニア)というオンライン受検できる試験も英検協会は展開していますが、こちらの試験については、入試の際に公式スコアとして扱われず、過去問や分析可能なデータもほとんどないため、今回のお話の対象外です。

受検することのストレス耐性がある

試験って本当に独特のものだと常々思います。小学生が受検するとなると、何から何まで未経験のエリア、初体験オンパレード!試験は受検する本人の意識が高かったり、精神状態が安定していた方が高いパフォーマンスを発揮できます。

「〇歳で合格!」などに注意を向ける前に、「試験を受ける」ことについて子どもの視点に立った上で、「何歳から受けるか」を決めるのが良いわけです。そういうわけで、子供目線に立つべき具体的な状況をお話していきますね。

  • 見知らぬ土地
  • 教室探し
  • 見知らぬ受験生
  • 試験に際し準備すること
  • 試験中

見知らぬ土地

試験会場に行くまで電車を使うことが多いと思いますが、そのこと自体が非日常の体験というお子さんもきっといます。そして駅を降りてから会場の最寄り駅から会場までの道のりも、会場自体も初めて足を踏む土地です。

日常と異なる場所に順応できるお子さんであれば大きな問題はありませんが、それだけでドキドキしてしまうお子さんも少なくないように思っています。小学生よりは試験慣れしている中学生でさえ、試験会場の送迎に保護者同伴で受検するケースは少なくありません。

教室探し

見知らぬ試験会場に到着すると、今度は受検する教室探しをしなければなりません。「教室番号表」という掲示物が会場内にいくつもはり出されているので、その案内を見て自分の受検番号から該当する教室を確認しなければなりません。

確認してから教室へたどり着くまで、大人でも毎回難儀します。受検番号の桁の多いこと!教室番号がわかったところでその位置まではわからない!校舎内まで保護者は立ち入りが出来なくないので、本人が自力で探す必要がありますが、係員が常駐しているので初めから受験票を見せて教室まで案内してもらった方が良いかもしれません。

見知らぬ受検生に囲まれ

教室に着くまでもまぁまぁの人込みです。(試験終了後は大混雑でカオス状態にも!)もちろん、見知らぬ人ばかりで大人もいます。そういう状況で教室にたどり着いたら、大仕事を終えた気分でぐったり、ということもあるかもしれません。私が実はそのパターン!

教室も見渡せば見知らぬ人だらけで、何やら対策本とにらめっこしています。隣近所の人とちょっとお話しませんか?みたいな雰囲気は皆無。とはいえ、何かをきっかけに、私は周りに話しかけて話しこむともあります(笑)。周りは雑音に迷惑したかもしれません(汗)。

老若男女とまでは言いませんが、年齢層の幅広い見知らぬ人たちが、見知らぬ土地の見知らぬ教室で一斉に受検する状況は、はっきり言って大人でも居心地が悪いもの。

経験値の少ない子どもにとってストレスがないわけがありません。不安要素もいっぱいある。これらをじっくりと想像してみませんか。

試験に際し準備すること

入室したらすべきことがいくつかあります。

  • 受検に必要なのものを机上に準備
  • 着席時間までにトイレに行くこと

受検に必要なものの準備といよりは、必要最低限以外はカバンにしまう作業といった方が正確です。受験票や身分証明のものなどと一緒に鉛筆や消しゴム、時計など、机上に並ぶものを目にすると、日常生活に馴染みのない取り合わせです。

トイレもできたら済ませた方がいいですが、最低限場所は確認しておいた方が良いです。試験中にトイレに行きたくなる可能性も十分あるからです。

試験中

試験問題は冊子になっていますがシールで封印されていて、上手にシールを破らないと、問題冊子が破れてしまう可能性もあります。また、マークシート用紙が解答用紙として別途配布されます。

問題冊子の開封も指示があるまで取り組んではいけません。マークシートは子どもにとって不慣れのはずで、問題用紙に印はついているけれど、試験後半に気づいたらマークシートの方は白紙だった、ということもあり得るので、マークシートの解答方法ついては事前準備が必須です。

また、受検級が上がると時間が長くなるので、お手洗いに行きたくなる確率も上がります。でも、初めての場所で知らない人に囲まれて、水を打ったような静けさの中、監督者に申し出て、トイレのために出入りする、というのはかなり勇気がいります。ガマンして、注意力が散漫になることすら起きるかもしれません。

以上の不慣れな環境の中で受検することや、その意義を理解できる年齢が10歳くらいではないか、と考えています。試験が好きなお子さんもいるとは思いますが、少数派でしょう。

以上、試験を受けることについて、考慮すべき子どもの経験値や性格的なことなど、子どもの視点に立つべき具体的な状況をお話させてもらいました。

受検結果の情報を理解できる

次は、二つ目の理由。10歳以上の場合、受検結果の意味を理解し、詳細情報の分析もできることが多いからなんです。

英検結果の情報の細かさは進化を遂げていると、40年近く英検を見てきて思います。返却されるデータは以下の通り。

  • 合否
  • 問題ごとの正誤
  • 分野(技能)別コメント
  • 合格者の平均点
  • 自分の成績と合格最低ラインからの距離

非常に細かいデータを出してくれます。これは海外の試験にはない手厚いアフターフォローサービスだと心の底から感心します。これらを親御さんが本人に代わって理解し、お子さんのこの先の英語学習に役立てることはもちろん良いことです。

とはいえ、本人が自分で読んで自分で理解し、自分の英語学習のキャリアパスを意識できるのが一番英語学習の効果につながるでしょう。こういうことを自覚したり、理解できる年齢がやはり10歳くらいからだと思うわけです。

目標(合格)への意識がもてる

英検受検が10歳からが良いと思う最後の理由は、目標意識を持ち、それに向けて何かしらのアクションを起こせるのが10歳くらいからだからです。

英検の受験日から逆算して、勉強の計画を立て、何のために日々の勉強があるのか、ちょっとしんどい時もそれを積み重ねた先に何があるのか、という意識がもてるのは多少の差はあれども10歳以降と感じています。

とはいうものの、小さいころから英語に馴染んだり、楽しみながら学習しているお子さんで、英検を単純に英語力の指標として受検するだけ、過去問も一度も解く必要もないというケースであれば、先の受検結果の情報分析の話や目標の意識などは不要かもしれません。

そういう場合は何歳から受検されても良いとは思いますが、試験会場のストレス、長時間の集中力を求められることの費用対効果などを考慮してあげることは大切ですね。

以上10歳という年齢の根拠を3つ、「受検への自覚」「受検結果の情報理解」「目標の意識がもてること」をお話しましたが、これができることで英語力だけでなく、人間としても大きく成長できると思うのです。実は大人にも等しくあてはまる大事なことだと捉えています!

10歳の根拠となる理由はこの3つだけ?とガッカリされた方、ご安心を。この後またお話させていただきますが、まずは年齢関係なく受検することになった場合の対策や注意点をお話させてもらいます。

受検必須の場合

さて、10歳からの理由3つは分かった、でも、△歳までに英検○○が、必要に迫られている!という場合はどうするか?

ペースとしては、一年に1級ずつ受検するくらいの感覚で、最終的に必要な級と期限から逆算し、ゆとりをもった受検計画を立てることをおススメします。

お子さんの英語力の向上度合いや、受検級によっては、1年に2級くらい受験できる場合もあるので、あくまでも目安として捉えてもらえればOKです。

色々とお子さんにとって不安材料になることも書きましたが、英検協会の公式ウェブサイトに「英検 for Kids!」というページがあるので、年少者の受検に際する注意点などもより詳しく書かれていますので、そちらを参考にすると、不安が多少解消されるかもしれません。

もう10歳以上!10歳未満だけど受けることになっている!という方に対し、実際に合格するまでに知っておいた方が良い周辺情報を紹介していきます。

英検受検を決めた!

英検受検が10歳からが良い理由3つは分かった。子どもはもう10歳を超えているし、今までの話から条件はどうやらクリアしていそう!年齢とは無関係に受検をもう決めた!という人に向け、どの級を受検したらいいのか、そして受験までに準備しておくべきことなど、受検周辺情報お話します。

まずどれほどの小学生以下の受験生が存在するのか、気になるところですよね。そこで受検者数の推移から見ていきます。

小学生以下・英検受検者数推移

2018年まで増加傾向があることがわかります。2019年度に若干減少している原因はよくわかりませんが、2020年度の大きな減少はコロナの影響と思われます。受験者数の増加傾向は、少子化を考えると、相対的に関心が高まっていることを示しているわけです。

次に気になるのはやはり合格率ではないでしょうか。公式サイトでは、2013年度のものしかありませんがグラフにしてみました。注意していただきたいことは、この数値は年齢関係なく、全受験者における合格率となることです。(※小学生以下に限定した合格率は発表されていません)

2013年度 英検合格率

この数値は、大人も、自宅学習で受検している学生も含めたものなのです。そういうわけで私の接している生徒さんたちの合格率の方が高く、完全に一致はしません。ただ、5級受検者は大人はほとんど受験しないので、合格率85%は、10人中8人という理解で良いでしょう。

4級になると10歳以下で受検する子どもは、相当勉強をしてきている可能性もあるので、小学生受検は合格率がもう少し高く、10人中7人くらい合格するかもしれません。

10年単位で生徒たちの合否の推移を見ると、信じられないレベルの生徒が下位級に合格するし、準2、2級あたりはギリギリ合格に滑り込む、そして準1級以上になるとまぐれ合格はなく、相当頑張ってきた生徒しか合格しません。

つまり2013年度結果の2級と準1級の合格率の大きな差は、2022年現在も変わらないと捉えていいでしょう。

合格率の差はある程度試験構成や内容とも関係してくるお話です。受検級を決める際に参考にもできるので、試験構成を見ていきましょう。

英検の問題構成

受検を決めたら、次にどの級を受けるかも決めなければなりません。問題構成と問題数、試験所用時間の内訳なども重要な手掛かりになるはずです。特に所要時間は集中力とも関係してきます。

問題構成と問題数、試験所用時間の内訳概要は以下の通り。

問題数と
所用時間
語彙読解並べ替え英作文筆記試験
時間
リスニングリスニング
時間
スピーキング
(面接)
面接
時間
5級20525分2520分
4級2010535分3030分
3級2010150分3025分65分
準2級2512175分3025分66分
2級2612185分3025分57分
準1級2516190分2930分58分
1級25161100分2735分110分
各級の問題数と解答時間

※スピーキング試験は別途申し込みが必要。筆記試験の合否とは無関係に受験可能。

この表にあるように、子どもが多く受験する5級や4級では、読解の有無はかなり大きな違いとなります。読解に求められる語彙量も5級よりは必然的に増えますが、その他の問題構成に大きな差はありません。読解に自信があるか、勉強しているかどうかが受験級選びの1つの目安になるでしょう。

3級以上では試験時間に着目すると、3級と準2級は25分も違い、また1時間超えるか否かという大きな境目になることがわかります。文法や語彙の目安として3級は中学卒業程度、準2級は高2程度。この境目の差は、合格率の差とは相関関係はないものの、網羅される内容は3級と比べて準2級はかなり広範囲に及び、語彙問題は5問、読解問題も2問増えていることからもわかります。

この表から以上のようなイメージが理解できたところで、次に受検級の参考にしていただくポイントを分野別に把握すると良いでしょう。

  1. 読解問題
  2. 並べ替え・英作文問題
  3. スピーキング(面接)

この3点の細かい解説をしていきますが、その前に前提として憶えておいてほしいことがあります。それはどの級を受検するにしても、一度は過去の試験問題に目を通しておくことです。

どんなに英語の実力があても、出題内容や解答方法を事前に知っておくことで心の準備もできるし、それが良いパフォーマンスにつながりますから!なお、公式ウェブサイトに直近の過去問3回分が掲載されています。

それでは、各分野の問題の特徴を解説します。

1.読解問題

5級には読解問題はありません。4級は、長文、お知らせ案内、E-mailなどの内容を読み解く問題が出題されます。これが5級と4級の合格率に差がある理由の一つです。

英検受検が初めてだけれど、150語程度の英文なら、中1レベルくらいの長文は読める、という場合は4級からの受検も良いでしょう。文章問題が3つあるので、英字の多さに圧倒される!という場合は5級にしておきましょう。

2.並べ替え・英作問題

並べ替え問題は4、5級にしかありません。英作文の代わりとしているからです。そういうわけで、英語の会話力や読解力はありそうだけれども英文を書いた経験がない、という場合には4級受験が良いかもしれません。

一方で英語力もあるし、英文を書く経験も積んでいる場合、3級以上に求められる語数目安と、出題テーマ(一例)を目安に受検級を決められるかもしれません。級ごとのテーマ一覧は以下の通りです、

英作語数         内容
325~35好きなもの、やりたいこと、行きたいところと理由
準250~60ファーストフード店は人々にとって良いか。
280~100車両利用は規制すべきか。
準1120~150日本企業は外国人労働者を増やすべきか
1200~240アメリカとの関係を見直すべきか。
英作文問題のテーマ

一つの例だけですが、ある程度の参考にはなります。ところでこの語数のイメージは湧きにくいですよね?日本語の文字数でザックリ換算してみると、
英語 200語=日本語400字(いわゆる原稿用紙一枚)のイメージです。

3級の25~35語というのは、日本語でいえば50~70語ぐらい。つまり一定の英語力があれば、英文を書いた経験がなくても、ある程度暗記することで対応可能です。

そして200~240語の英検1級は、603文字と決まっているらしい天声人語より若干少ないくらいですが、分量もさることながら、出題されるお題を見ても暗記などでは到底太刀打ちできないことがわかります。

この表から見てわかるように、級が上がるごとに単純に語数を増やせばいいというわけではなく、出題されるテーマが難しくなっていくのです!母語(日本語)ですら答えられない~!!と思いませんか?

もちろんこれは一例なので、例えば準1級であっても、子どもでも書きやすいテーマが出題されることもあります。とはいえ、テーマに沿った知識がそもそも母語自体にも必要で、普段からそのような時事ネタにアンテナを張っておくことも大切なことがお分かりいただけたと思います。

英検にテーマがある?

話は少し逸れるようですが、英検にテーマがあるのをご存知ですか?私が英検受検の年齢を10歳以上にするもう一つの理由が、この英検のテーマ。過去問を眺めてみて、いくつか思い浮かぶかもしれません。出題頻度の高いものを挙げると「人権の平等(男女、人種、年齢)」「地球環境」「世界平和」などです。

出題される長文、英作、面接試験どの分野においても、これらのテーマに沿った内容を問われ、どの級においてもこのテーマは一貫しているんです。3級では長文に出てくるくらいですが、準2級では2次面接以外全て、それ以上の難易度の高い級になればなるほど、分野問わず横断的にこのテーマが含まれます。

この壮大な英検テーマに対して、興味関心を持ったり、理解するのは、やはり10歳以上が妥当なところではないかと思うのです。10歳とした理由はこのテーマへの理解も大きな要因です。

3.スピーキング(面接)

さて、比較的得意な子どもの多いスピーキングテストのお話です!

試験内容についてですが、準2級まではさほど難解だとは思えません。

とはいえ、質問事項を想定する事前準備は必要です。日常的に英語を使っていたり、スピーキングが得意で自信があるなら不要かもしれませんが、そうでない場合は、答え方の正確性というより限られた時間内に何らかの英語を話すことに慣れておく必要があるからです。

ウェブサイトにはサンプル問題しか掲載されていないので、過去問題集を購入して確認した方がいいかもしれません。

4,5級は、筆記試験のみですが、別途申し込み・支払いをすればオンライン上でスピーキングテストを受けることができます。

筆記試験の合否に関わらず面接試験を受検できるので、読み書きはちょっと苦手だけど、スピーキングが得意!という場合は、”筆記5級” + ”スピーキングテスト5級” 両方を受検する、という選択もアリだと思います。

もちろん、筆記試験に落ちてもスピーキングテストを受検できるので、”筆記” + ”スピーキングテスト4級”という組み合わせもアリです!

一方で、3級以上は1次試験の筆記に合格しないと、別日程に実施される2次試験のスピーキングテストを受けることができません。筆記試験が一定レベルに達していないと会話力の判定ができない仕組みなのですが、実はこれは従来型のペーパーテスト型(従来型)受検でのお話。

一日で4技能全て受検可能?

英検には筆記試験の従来型に加え、S-CBT型という受検方法があります。これは英検のテストセンターまで行ってコンピュータ受検するのですが、一日にスピーキングテストも含めた4技能全ての試験がまでも実施されるのです。

つまり、二次面接試験の受検ができるのかどうか、筆記試験の結果をヤキモキして待たずに済むし、面接日を別途空けておく必要もない!さらに年6回も受験できるので、クラブ活動や行事の多く大学受験にスコア提出期限の迫っている学生向けに導入された試験方式です。

(この試験方式については、受験料が割引にも関わらず、比較的余裕のある家庭向けの試験だという声もあります。ただし、本論から外れるのでここではそれについて言及しません。)

S-CBTで注意が必要なのは、コンピュータ受検なのでパソコン操作にある程度慣れていることに加え、長時間画面を見ることも求められること。さらに試験全体の時間も1日に凝縮されるため、当然長い!小学生、特に低学年以下にお勧めすることにためらいがあります。

とはいえ、やはり色々な事情で試験会場まで2日間も足を運ぶのには無理がある…という方もいらっしゃいますよね。そういう方には救われる受検方式なので、これらの事情をお子さんと話し合って受検を決められても良いと思います。

気になる合格基準

受検級が決まったら、とりあえず過去問題を1回分解くことが大事。

正誤の確認をしたら、それが合格基準に達しているかどうかを把握する必要があるのですが、実は明確な合格基準開示されていません。個人的な感覚ですが、語彙、並べ替え、長文、リスニング、と各分野7割正答していれば合格すると捉えています。

過去問を解いてみて、7割前後ぐらい正答できそうならばその級を受ける目安にしても良いでしょう。(1次絵試験の過去問と解答は公式ウェブサイトに各級掲載されています。)

とは言えあくまでも目安なので、明確な合否基準は欲しいところ。「明確な基準に近いもの」は開示しているのでそのお話をします。

合否基準となるCSEスコアとは?

英検は、2016年度からCSEスコア(Common Scale for English)という指標を使って、各分野の受検結果のスコアが提示されるようになりましたが、各問題のスコアは開示されていません。問題によって高いスコアと低いものとの差があるものの、受検者にはわからないということです。

実際に正答率が半分近くでも合格できる級もあるらしく、スコアの比較的低い問題を多く間違えたのだろう、という想像だけが働きます。そういうわけで、「正答率が全体の何割あれば合格する」とは一概に言い切れないのです。

公式ウェブサイトでは、以下のように記載されているので、一応参考程度にはなるでしょう。

「正答数の目安を提示することはできませんが、2016年度第1回一次試験では、1級、準1級は各技能での正答率が7割程度、2級以下は各技能6割程度の正答率の受験者の多くが合格されています。」

英検CSEスコアでの合否判定方法について

これらのことから、各分野7割の正答率を目指したら合格は手堅いという感覚でいるのです。

このCSEスコアは、受検後に送られてくる結果に表記されるのですが、その数値から自分の英語力を分析し、その先の英語学習の良い指標となるので、知っておくとオトクです。(これらはwebでも確認可能)。

これらの分析ができるのもやはり10歳以上と考えていますが、代わりに親御さんが読み解いて差し上げるのもアリです!

CSEがなぜ登場したの?

ところで、英検がこのCSEスコアが2016年度から導入された大きな理由を、分野別の凸凹(でこぼこ)の解消にあると公表しています。極端な例ですが、※2015年度以前は英作文が0点であっても、他の技能が高ければ合格する可能性があったことを、2016年度以降はそのケースでは不合格となるように設定したようです。(詳しくは、英検CSEスコアでの合否判定方法について参照)

英検の4,5級は英作文がないので、他の技能とのバランス調整という意味での英検の趣旨と合致しませんが、「英作文はムリ!」という人にとって難易度のハードルが低くなるはずなので、趣旨はともかくとりあえず受検するのもアリなのです。

このCSEスコアのことをより良く知っておくことで、英検への理解だけでなく、受験結果の理解が深まり、それが、英検対策と英語学習の効率化にもつながります!

合否のためだけに英検受検(英検利用)しない人たちに1歩も2歩も差をつける(!!)ためにも、CSEスコア導入のメリットや、導入に至る具体的背景を見ておきましょう。

CSE基準のメリット

受検者にとってCSEスコア導入のメリットは2つのあると考えています。

  1. 合格ラインからの距離把握
  2. CEFRとの関係

この2つの点について、導入の背景も含めてポイントを解説していきます。

1.合格ラインからの距離

合否に関わらず、自分の受検結果が合格ラインからどれくらい離れているかのことです。それが段階別にはなっているものの、このCSEスコアによって算出されています。

落ちた場合、合格までの距離を知ることでその後のモチベーションが変わるし、合格した場合でも、ギリギリ合格だとしたら手放しで喜んでも居られません。どちらにしても、合格ラインから自分の位置関係を把握することで、その先の学習計画をイメージしやすくなるので大きなメリットです。

2.CEFRとは?CSEとの関係とメリット

CSEスコアを導入した最大の理由はCEFR(セファール・セフル)に対応するためだと公式ウェブサイトにも書かれています。これが受検生にとって何のメリットがあるかというと、特に国内外の大学がCEFRによる英語力の証明を求められた時に、すぐに対応できるということがメリットなのです。

今までは、自分の受検結果の点数を公式ウェブサイトの特定ぺージで入力して、CEFRスコアを出していました。でも、それでは公式証明にはならなかったのです。

ちなみに、CEFRとは言語の習得状況を評価するためにヨーロッパで考案された「ものさし」です。CEFR=〈Common European Framework of Reference for Languages〉の略で『ヨーロッパ言語共通参照枠』と表記されます。英語にだけ該当する基準ではなく、言語全般の「ものさし」でなのです。(ヨーロッパで作られた理由がわかる気がしますね。)

大学などでこの指標に基づいた英語レベルを求めるようになって重視されるようになり、英検もCEFRに換算できるようCSEスコアを導入したのです。日本の大学だけでなく、海外の大学留学を検討している人も英語力を程度把握できる指標となったことは間違いありません。(各種検定試験とCEFRとの関連はコチラ

とはいうものの、まだ小学生くらいの時期に大学の話は遠いという方にはあまりメリットは感じられないかもしれません。関係してくる時期が来るんだなぁくらいの感覚でも良いでしょう。

CSEスコア導入により以前よりも分野別(技能別)偏りが小さくなり、受検者全体の中の自分の位置付けが明確になりました。大学はまだ先でも、目先の英語学習に役立てやすく、モチベーションにつなげられるので有効活用できます!(英検CSEスコアについての詳細はコチラから)

CSEの限界

ここまでCSEの受検者にとってのメリットなどをお話しましたが、問題点もあります。

それは、問題の正答率と、実際の得点との関係が全くわからないことです。各問題の配点が開示されていないのです。さらに4技能のバランスの偏りを回避したとはいえ、以前に比べて改善されたというだけで、リスニングや英作文など特定分野で点数を稼ぎやすい傾向に変わりありません。

CSEに関係する英検の4技能のバランスや、試験問題と英語力の関係については、特に合格してからのお話になってくるので、次にお話します。

合格後の注意!

これまで受検概要や結果に表示されるCSEのお話をしてきました。これらは合格するために知っておいた方が良いこと、しておいた方が良いことです。ただ、これらができたからといって英語力がついているとは限りません。

「英語力をつけることが大事」という場合は、受検後、特に合格後が注意なんです!個人的には受検した後からが、「英語力向上の分かれ目」とすら思っています。そういうわけで、ポイントを3つお話しますね。

  1. 英検では英語力の一部しかはかれない
  2. 英語上達より試験合格が先行すること
  3. 【大事!】合格に有効期限

これらを理解していただき、受検しっぱなしではなく、受検してからの新たな英語学習の道筋が見えてきます。英検受検を最大限有効活用していただくために、3点それぞれをお話させてもらいます。

注意点① 英検では英語力の一部しかはかれない

英検に合格しても、実は英語力が全然ついていない、という生徒さんをたくさん見てきました。理由は以下の2点です。

  1. 分野(技能)ごとのバランスが悪い
  2. 下位級は英語力とは別の問題が含まれている

1.分野ごとのバランスが悪いとは、得意な分野で得点を稼ぎやすい仕組みになっている、と言うことです。繰り返しになりますが、リスニングなどで稼いで合格するケースが少なくありません。

2.英語力とは別の問題とは、5級に読解問題がないことと関係します。英文を読むことをはかれません。英作文の代わりの並べ替え問題はあるものの、英語を書くことと、並べ替え問題ができることとは全く別物です。作文能力も全くはかれていないと私は捉えています。

5級は語彙力を問うているものが多く、英文構造や文法についての理解をはかる問題はあまりありません。読解問題のある4級も実は同じような傾向があります。

全体的にどの級も問題がワンパターンでバリエーションが豊かとは言い難い上に、4択問題なので、英語力をはかっていると言い切れないのです。これらを踏まえて、解答テクニックに走って合格したと自覚した場合、受検後にしっかりと理解するまで復習することが大事です。

詳しくは以下の記事にで書いていますので、参考にしてみてください。
こどもの英語が伸びないのは積み上げ不足?英語力向上の習慣と方法を解説!」

注意点② 英語上達より試験合格が先行すること

次に注意すべきことは、先ほどの「解答テクニックに走った場合」と一部重複しますが、合格を最優先した学習を繰り返す場合です。テストで高得点をとっても、せっかく試験で高得点をとっても、英語や英会話に対して、苦手意識を持つことすらあるし、実際に外国人と会話したり、映画や洋書を楽しんだりすることが出来ないこともあります。

これらは語学の醍醐味だと思うので、せっかく頑張ったのにそれらを味わえないのはモッタイナイ!

そういうわけで、このパターンの合格に該当する場合、英検の試験、特にリスニング・スピーキング・英作文の3分野の問題を徹底的に活用することをお薦めします。活用とは、暗記するまで繰り返し音読したり、その音読を録音したりと、英検で出題される英語がすらすらといえるようになるレベルです。

これは3級レベルの問題を活用することで十分と思います。このレベルの英語がスラスラ言えたら、スゴイ!と思います。実際には例え英検2級以上を合格していても、それより下のレベルのリスニングや英作文などをスラスラ言えるケースの方が遥かに少ないのです。

英検問題の具体的な活用法については、別記事に書かせていただきます。

注意点③ 【大事!】合格に有効期限を求められる?!

合格しても一番注意が必要なところかもしれません。10歳前後で受検する場合、特に注意しましょう。

英検は一度合格したら、英検協会の方では未来永劫有効となっています。ところが、入試に英検が採用されるようになり、合格事情が変わってきています。

学校側が「合格後(級の取得後)○年以内を有効」とすることを定めることが増えてきたのです。だいたい1~2年以内が多いようです。それだけではありません。英検結果についてくるCSEスコアの○△点以上という具体的な数字を求める大学(一部では高校も)も増えてきたのです。

つまり、単なる英検○✕級合格では、十分ではないことを表しています。語学は長く継続的に学習するものです。「英検△級○○歳という若さで合格!」は素晴らしいことですが、いざ入試に使おうと思ったら有効期限切れで、再度受検する必要が出てくる可能性が多分にあるのです。

英検受検を10歳以降とする決定的な要因とはなりませんが、これもまた英検受検を10歳以降とする理由ではあります。

大学受験に有利になるようにともし英検受検を始めたとしたら、そのスタートが早すぎるがために途中で息切れしちゃうことも、合格の有効期限切れで再受験し、その時のスコアが以前より下がっていた、なんてことも回避したいですよね。

まとめ

以上、英検自体の受検は10歳からが妥当であること、合格のための対策について、そして、受検後の注意点などお話させてもらいました。

とはいえ、何歳から受検するか?を他の事例と比較するよりは、目的に合わせた時に受検をされることが一番です。年齢やタイミングは人ぞれぞれ異なって良いのです!入試のため、留学のため、単に英語力をはかりたいため、学習のモチベーションのため….

注意が必要なのは、子どもは経験値が少ないことを理解することです。受検の事前準備だけなく、会場に行くまで、会場に到着してから受検を終えるまで、どれほど負担がありますか。(あるいはないかもしれません)

今回のお話をお読みいただき、お子さんと話し合い、その子の性格と照らし合わせてからの受験を決められても遅くないはずです。

なお、英検の試験の問題点を指摘しましたが、英検に限らずそもそも試験で英語力をはかることには限界があります。公式ウェブサイトの通り、英検は英語力向上のために活用するもの!

「語学の4技能である「読む」「書く」「聞く」「話す」、をバランスよく習得するために、活用してもらう試験」

英検協会公式ウェブサイトより

英検の受験料は年々上がっていて経験値として受けるには高いお値段です。その受験料を最大限に活用しない手はありませんよね!英検を受ける時期も大事ですが、受検後のステップアップはもっと大事!英検を活用した先の明るい未来をイメージしてみてください!

英検を何歳から受けますか?

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