我が子が英語をとても楽しんでいるのに伸びていない、成績に反映されない、目に見える形で英語力が伸びていない!とお悩みの親御さんに向けてお話します。
子供が「楽しいから続けたい」と言うけれど、
- この時間とお金の投資はどこに向かうの?
- 習い始めた当初の目的からは程遠い…(英語が伸びない)
不安や苛立ちもあるかもしれません。とはいえ、経験上このお悩みに即効性のある解決策も模範解答もありません。でも、悩みの大元に迫ることはできます。大元に迫るために、2つのことを考える必要があると思っています。そこから始めてみたら、案外シンプルな結論が出るかもしれないからです。その二つとは、以下の2点です。
- そもそも「英語が楽しい」ってどういうこと?
- 英語が「伸びない」とは何を望んで言っているのか?
これに加えて「英語との理想的なつき合い方」についてもお話させてもらいます。お悩み解決への道筋とともに、英語力を伸ばすポイントもお分かりいただけると嬉しいです。
そもそも楽しいとは?
教える側からしても生徒達の「楽しい」というお声は嬉しいものです。でも子どもの言う「楽しい」が一体どういう状態を指しているのか理解する必要があります。どのタイミングで、何を「楽しんで」いるのか。英語力の定着は「楽しい」の内容に大きく関わり、引いては英語が伸びることへつながるからです。
そこで私たちの表現する「楽しい」の具体例を考えてみました。
- お笑い番組を見てお腹を抱えて笑う(瞬間的楽しさ)
- ショッピングモールやディズニーランドなど、一日楽しく過ごせる(エンタメ系楽しさ)
- 問題解決のプロセスを思考したり、調べたりする活動(知的楽しさ)
- 一人黙々と作業を続け、気づいたら時間が過ぎている(集中できる楽しさ)
1.や2.の楽しさが奪われてしまったら、私たちの日常は味気ないものになりますね。この二つの特徴は、既に他者によって創り上げられたモノやサービスに与えられているところです。自分自身を楽しませるために自ら考えて創り上げるようなものではない、とも言えます。
それに対し3.と4.は、主に自分自身で何かを創り上げる活動が伴うものです。(きっかけは1.2.と同じように他者が創り上げたものだったかもしれませんが。)自称・他称問わず、○○オタクに該当する人は3.+4.の楽しさに多くの時間をかける人ではないでしょうか。
英語力が伸びる人は、3.と4.の両方の楽しさが必要となります。それだけでなく、それを継続できる状況にある場合が圧倒的に多いです。ここで言う英語力が伸びるとは、本質的な英語力が定着すること、つまり「読む」「書く」「聴く」「話す」4技能がバランスよく身につき、英語への抵抗がより小さくなり母語に近づく感覚のレベルのことです。検定試験にもその英語力の伸びは反映されます。
場合によっては英語オタクになれるかどうか、とも言えます。とはいえ、オタクレベルまで追求することは全く求めません!
1,2のエンタメ的な要素は必要ですが、英語が伸びるためには3,4が必要なのです。子どもの「楽しい」は1~4のどれでしょうか?まずは確認してみてください。よくわからない場合、1,2について、その限界について次にお話するので、参考にしてみるのも良いでしょう。
エンタメ的楽しさの限界
週1~2回のレッスン通学の場合、先に述べた1.お笑い番組を見てお腹を抱えて笑う(瞬間的楽しさ)2.ショッピングモールやディズニーランドなど、一日楽しく過ごせる(エンタメ系楽しさ)の要素が多い場合があります。
歌、工作、塗り絵、アクティブティゲーム。これらは多くの子どもにとって「楽しい」ものです。ハロウィーンでは仮装や歌、クリスマスではゲームをしたりプレゼントをもらったりのパーティ。ますます「楽しい」ですよね!
ところが、これらは英語を使ってはいるけれど、活動趣旨が不明瞭なこともあり、結果的に「楽しかった~」という感情しか残りません。肝心の英語は、しばらくは憶えてはいても定着にはつながりません。なぜなら、翌週は新しい英語表現を使って異なる「楽しい」活動をする可能性があるからです。
習ってきたものが定着することなしに英語力が伸びることってあり得ませんよね。
さらに、時間の経過とともに飽きるケースも多いです。というのも、人間は本来知的好奇心が備わった生き物で、小さい子どもでも、このように他者から与えられた楽しさだけだと飽きやすいこともあるし、年齢とともに知的好奇心を求める傾向が強くなるからです。また、英語力が伸びる実感がなければ、続けるモチベーションも維持できなくなります。
これが英語に取り組むことに飽きちゃった、英語教室に通っても英語伸びないから、もう辞める、では困りますよね。だからこそ、知的楽しさ、集中できる楽しさも必要になってくるのです。でも具体的にどのようなものをイメージしたらいいのでしょう?次にお話します。
紙の辞書が教えてくれること
知的好奇心ってこういうことなのか!と、紙の辞書活動を通して私自身が生徒達から教えてもらったことを紹介します。
紙の辞書に触れた最後を思い出せない、そもそも触れたことない、という人が増えています。オンライン辞書や翻訳ツールの登場と共に、いつでもどこでも瞬時に英単語の意味がわかることの利便性は文明の利器!まして読みながら同時に単語も調べられる電子書籍のすごさは、これ以上ないくらい私たちをモノグサにしてくれます(笑)こうなると、紙の辞書は黒電話同等扱いされてしまう可能すらありますね。
私は紙の辞書を知らなければデジタル辞書を使いこなすことはできない、とある時を機に確信しました。そもそも紙の辞書を引いたこともない生徒が電子辞書片手に「先生、この辞書壊れてんねん。」「(調べたい)単語が載ってないねん」と質問してきたケースが一人や二人ではなかったからです。どこに何が書いてあるはず、という「アタリ」が紙の辞書のユーザーならあるのです。それもなく電子辞書など使えません。
そういうわけで、学校勤務時代は中1で「紙の辞書」活動を取り入れていました。驚くことに授業アンケートの結果、不動の人気活動が「紙の辞書」活動だったことは私も想定外の事実!
え?ゲーム性が高かった?景品で釣った?その活動内容の詳細を説明します。
フォニックス(※)学習済みという前提です。
- 調べてほしい単語を教師が発音
- 生徒達はその音からつづりを想像
- 生徒達からつづりの正解が出るまで待ち、正解が出たら板書
- 生徒たちは板書された単語を辞書で引く
- 生徒たちの中で引けた(日本語の意味が分かった)人から挙手
- 挙手された生徒を指で確認してながら教師は1から英語で数え上げる
=単語が引けずに挙手できずにカウントされないと焦る
※フォニックス:音とつづりの法則性を理解することにより、①初めて見た単語を発音できる ②耳で聞いた単語をつづれる ことを目的とした学習法です。
ゲーム性は高いとは言えません。4と5の辞書の早引き競争になっているので刺激はあるかもしれません。それでもエンタメ系の楽しさには遥かに及ばず、そもそも種類が異なる楽しさでしょうし、生徒たち自身エンタメ的要素を求めてすらいないでしょう。このような活動にも関わらず、これがない日は逆にリクエストされたことも一度や二度ではないのです。
また、1学期に1回、制限時間内に引ける単語の数を競う大会ももよおしました。でもこれも大変アナログな競争です。ここに電子機器が介入する余地はありません。
生まれた時から携帯があり、携帯一つで多くのことを処理することに慣れている世代が、これほど飽きずに興味を示してくれるのはなぜなのでしょう?これのどこが知的欲求を満たす活動で、英語力の伸びとどう関係するのでしょう?
アナログ活動が楽しい理由
紙の辞書活動が人気の理由、つまり「英語を楽しんでいる」理由を考えてみました。
1.五感をフル活用する使うこと(脳は五感ではないですが)+自主的に身体を動かすこと
- 耳で単語を聴きとる(聴覚)
- つづりを想像(脳)
- 手の感覚を使って辞書の厚さから単語の位置を推定(触覚)
- 紙の質感・重量感を手の感覚で感じる(触覚)
- 辞書特有のにおいもかいでいる(嗅覚)
- 意味を確認(視覚)
五感を使っていることに加え、脳の処理も必要としています。これに加え●発音記号を含めて書き写す ●音読する という活動が加わることもあります。つまり追加される身体の運動は、以下の通りです。
- 手を動かす
- 目を動かす
- 口を動かす
- 音読する際に必要な肺から喉、口にかけての筋肉を使う
体育と音楽の授業でもここまで動かす部位が多くはない気がします。実は、これが「知的に」楽しんでいる大きな要因なのではないかと思っています。「人間は視覚や聴覚などの五感で世界を捉え、その情報を脳で処理し、その結果が感情や行動につながっている」と知的欲求を満たす仕組みについて聞いたことがあるからです。
2.英語の意味がわかる
この一連の活動の一番の目的は「日本語の意味を理解する」ことです。そのプロセスでは「自主的に」身体を動かさなければ達成できません。他者から与えられたのは課題であり、解決のためには自ら動く、自ら創り出した活動の結果得られるのです。ここに知的好奇心が潜んでいるように思うのです。
また、結果的に時間内に引けなくても、他者より遅れてもペナルティは一切ありません。それでも一生懸命に取り組むのは「知的欲求を満たしたい」ことの表れなのでしょう。
3.他者との競争が働くこと
- 聴き取った単語のつづりを当てる
- 単語を引けた生徒から挙手
単語を耳にしても、つづりを当てられなかったり、辞書引きが不慣れで単語の意味を調べられない(あるいは途中で諦める)生徒もいたと思います。ペナルティもご褒美もない中でほぼ全員が積極的に参加していたのは、他者との単純競争という仕組みのおかげではないかとも思うのです。
4.慣れ
慣れないうちは、重くて机上のスペースを占拠する辞書を引くという行動自体が難儀で億劫なもの。そこに、アルファベットの順番も憶えていないとなると、より時間がかかって単語探しはめっちゃ面倒くさい!!となる。それでも辞書引き活動を繰り返すうちに、アルファベットも憶えるし、作業の流れがわかってきて、今日は何の単語かな?とワクワクして待ち構えていました。
このように”一見面倒くさい”作業でも、五感・脳・身体が刺激されて情報を得られ、競争を働かせ、慣れてくると、楽しさが圧倒的に上回り、知的欲求も満たされるではないかと思うのです。
それでは、これを続けたご利益、英語力の伸びとはどう関係するのでしょうか。
辞書活動継続の結果
辞書引き活動を続けているうちに明らかになったことをお話します。
1.深い集中力の発揮
辞書を引く際、広い教室内で紙をめくる音以外何も聞こえない静寂のひと時が訪れたのは、生徒の深い集中を表していたと思います。ペナルティもご褒美もない中でこれほど集中できるのは、楽しかったからだと思っています。
2.自主性が育つ
そもそもこの活動をする際、諸事情により学校内に放置されていた30冊以上の辞書をかき集め、それを生徒達に使ってもらっていました。辞書は、新旧含め、色々な出版社の様々なものがあったのですが、その中で「自分のお気に入りの辞書」「人気の辞書」が出てきました。「その辞書を使って引きたい」という感情が湧くのは当然で、人気の辞書は争奪戦でした。ところがしばらくすると、こちらが何も言わないうちに自主的に紙の辞書を購入する生徒が例年になくたくさん出てきたのです。
教師が「辞書を買いなさい」というまで待っている「指示待ち人間」を作りたくなかったので、敢えて購入を勧めませんでした。「必要だから購入する」という生徒の自主性を私の方が「待って」いたのです。
3.知的活動を伴う思考力が育つ
辞書引き競争の中で「人より早く引くにはどうしたらいいのか」ということを考える生徒も出てきました。辞書の側面にアルファベットの振ってある辞書と、振っていない辞書がありました。当然振ってある方を選ぶ生徒もいます。また、自分の辞書の側面が無地の場合、自らアルファベットを振る工夫を始めていました。こういうことは知的活動の一環だと私は思うのです。
4.英語力の伸びではなく、伸びたのは…
残念ながら辞書引き=「英語力の伸び」につながる結果は出ていません。ただ、数か月前までは小学生だった子どもがこのような自主的な行動をすること自体が、英語力を遥かに越えた大きな「伸び」だと思うのです。この「自主性」こそが英語への取り組み姿勢も変え、引いては「英語力の伸び」にもつながり得るとは考えています。
5.知的好奇心を満たしている可能性が高いこと
知らない単語の意味を、五感+脳を使った情報処理活動を通して知るようになること、これが楽しいの大きな一因だと睨んでいます。とはいえ、知的好奇心を満たしていることを証明することは難しいです。
6.最終的に明らかになったこと
この活動を実施した学年からは「この電子辞書、壊れてんねん」という声は一切聞かれなかったことは確かでした。それに電子辞書を購入したかどうかもわかりません。教室が静寂に包まれるほど辞書引きに集中し、紙の辞書に馴染み、重いし場所をとるけれど「辞書は面白いもの」と捉えてくれたことは確かでした。
お子さんが一人でも、ご自宅で似たような活動ができます。用意するものは二つ、英和(英英でも可能)辞書と、ストップウォッチ(携帯にもありますね)。例えば単語3つを引くという活動を週に3回ほどしてもらい、毎回所要時間を記録します(携帯ならばスクショ、という手もアリ)。この場合、競争相手は「自分」。
辞書引きの時間が短縮されれば親は褒めてあげればいいだけ。それも大きなモチベーションになり得ます。所要時間の増減に「今日は新記録達成!!」「今日は前回より0.1秒遅かったぁ~!!」など、一喜一憂して取り組んでくれるかもしれません。集中力も伴うこの知的活動、試してみる価値はあると思いますよ!
そして何よりも、知的欲求を満たすことのメリットは、同じ作業をしているのに「集中でき」「飽きない」ことだと思うのです。そしてその積み重ねこそが「英語力の伸び」につながることは間違いありません。語学習得には「同じ作業の繰り返し」という地味な側面は必須だからです。
エンタメ楽しさを最大限活用する方法
紙の辞書は知的活動だと言いきることはできませんが、それでも深い集中や思考力を養うメリットをお分かりいただけたと思います。では、このような要素がないと「英語力が伸びない」のでしょうか?エンタメ的な楽しさを排除し、知的活動を提供する英語教室に移ればいいのでしょうか?
知的欲求を満たす活動が少なくエンタメ的な楽しさが多い場合でも、学べることはしっかりとあります。また、お教室を移ると言っても簡単にはできない状況にあることもあるでしょう。お子さんが「英語が楽しい」と言っているのならば、お教室を変えずに英語を伸ばす方法をいくつか提案させてもらいますので、できることから試してみてはいかがでしょうか。
- 習ってきたフレーズや学習内容の確認
→ テキストや音源を一緒に聴いたり読んだりしてください。歌でもOK。 - 極力毎日その内容にを復習(最低5分)
→ 楽しいのであれば、家で親と一緒にその英語を使えたら楽しいはずです - 年に2~3回はまとめて復習
→ 最低でも半年に一度、まとめて復習する機会を設ける
この作業の中で「英語の発音に自信がない」からと作業に尻込みする必要はありません。お子さんに英語が通じること、習ってきた英語定着が目的なので、親御さんの発音を理由に取り組まないのはモッタイナイ!!もし発音にこだわりたい、という場合は、アプリやインターネットなどを活用して発音を事前に調べてみても良いでしょう。
子どもからしたら大好きな親御さんと一緒に英語に取り組むことは、より「英語が楽しく」なります。また、教室で使った英語のフレーズは繰り返されることが多いはずなので「あ、これ憶えている!」という英語表現が増えると理解度が上がり、さらに「英語が楽しく」なるはずです。その先には必ず英語力が伸びるはず!
長いとお感じになるかもしれませんが、最終的に1年越しの期間を設けて、1年間教室で取り組んだ内容の「8割定着」のイメージを持ってください。それが実現できれば、英語力もこの先伸びる可能性が高いと思います。2ヵ月やってみて「ダメだった」と諦めるのは早いし、モッタイナイ!
英語が伸びない?
「英語が伸びない」という場合に、改めて確認してほしいことがあります。それは「英語が伸びる」という言葉が何をもって「伸びる」と言っているのか、ということです。目指しているものや期待しているものを、具体的にする必要があります。視覚化できるものがあればなお、お子さんと共有しやくて良いと思います。
確認していただいて、すぐに答えが出ない場合は目指しているものをいま一度考え直してもいいですね。もし答えが出る場合、目指しているものは「週に1回英語教室通いするだけ」で達成できるものなのでしょうか。改めて確認してみてください。
子どもたちの英語力が「伸びない」と言っていた親御さんたちの目指されているものの例をいくつかご紹介します。
小学校の成績
小学校英語が導入され、小5からは成績がつけられるようになって、それを英語力の指標とする人も増えてきました。私の見てきた中では、試験内容は成績をつけるために実施されているもので「英語力を問うもの」「英語の伸びを客観的にはかるもの」とは言い難い傾向があります。
そもそも小学校の先生は「英語を教えること」は業務の範囲外でした。それがカリキュラム変更に急な対応を余儀なくされ、寧ろお気の毒な話です。試験だけでなく、授業も宿題も扱いに困っていることは容易に想像されます。授業も年間で30時間前後なので週に一回ありません。生徒達は前回の学習内容を忘れている場合が多く、英語力の定着もとても難しい状況に見えます。
その中でテストを実施するわけですから生徒たちにも酷な話です。もし学校の成績を上げることを目的とするならば、英語教室に通うよりも学校で使っているプリントや教科書をご家庭で一緒に取り組むんだり、家庭教師に依頼することをお勧めします。
また、その成績が※本質的な英語力の伸びと直結するかどうかを専門の方にご相談されることもおすすめします。
※本質的な英語力=英語力が定着すること、つまり「読む」「書く」「聴く」「話す」4技能がバランスよく身につき、英語への抵抗がより小さくなり母語に近づく感覚のレベル
会話力
会話力向上を目的とするならば、1週間に1回、60分のレッスンで身につく方が人間離れしていますよ!先ほど述べた3つのポイントの繰り返しになりますが、それらをひたすらこなすしかありません。
- 習ってきたフレーズや学習内容の確認
- 極力毎日その内容にを復習(最低5分)
- 年に2~3回はまとめて復習
そして、1年間教室で取り組んだ内容の「8割定着」を目標にしてください。
週に1回の教室通いで会話力が伸びるはずがないのです。時間で考えると子供が一週間で起きている時間は100時間前後で、英語に接する時間は1時間。起きている時間全体の1%にしか過ぎません。頻度でも考えてみます。日本人であっても週に1回しか日本語に触れないことになったら、日本語力を維持・向上させることはできるのでしょうか?
英検
英検合格を「英語が伸びている」とする場合は、英検対策コースがあるか英検専門のお教室に通われたることで明確に「英語が伸びる」ことがわかります。
お子さんが既にそのような教室に通われていて「英語を楽しい」と言っているにも関わらず英検に合格しない=「英語が伸びない」場合もあるかもしれません。その原因と対策をできるだけ早くお教室の先生に相談されることをお勧めします。
個人的には、英検で英語力の伸びしろを判断することはお薦めしません。先ほど述べた※本質的な英語力の定着を目標とし、そのプロセスに英検合格がある方が、長い目で見た時英語を好きになり、得意になる可能性が高いです。
※本質的な英語力=英語力が定着、つまり「読む」「書く」「聴く」「話す」4技能がバランスよく身につき、英語への抵抗がより小さくなり母語に近づく感覚のレベル
まとめ
以上、英語が楽しいと子どもが言う割には、英語力は伸びない!というお悩みをお持ちの方に2つのポイントのお話をさせてもらいました。
- エンタメ的楽しさは、英語力が伸びにくい
(とはいえ、家庭のサポートで英語力を伸ばすことは可能) - 「英語が伸びない」と言った場合、その指標が曖昧なことがある。「英語力の伸び」=「本質的な英語力向上」に焦点を当てることがおススメ
いかがでしたでしょうか。「英語が楽しい」でも「伸びない」というお悩み解決の糸口になったでしょうか。
この記事を書くきっかけとなったことが二つあります。一つは「うちの子伸びない」と口にされる親御さんが少なくなく「伸びない」の定義が曖昧であったり、本質的な英語力向上と乖離していたことです。
例えば、小学校の英語の授業が「レベル別」に分かれていた場合、そのクラスが下位クラスから上のクラスに上がれないから自分の子は英語力が伸びてない、という方もいらっしゃいました。とはいえ、そもそものクラス分けのやり方自体が、「積極性」や「記憶力」を求めるようなもので、その生徒さん本人も伸びている途上でした。このことは専門の人ならばわかることですが、そうでなければ「伸びてない」と判断してしまうかもしれません。
別の例は、小学校4年で英検4級合格したから「うちの子は英語力が伸びている」と思われている親ごさん。お子さん本人は「they=彼ら、彼女たちは」の意味を知らない(「みんな」の意味と取り違え)、英文の語数(単語の数)と文字数(アルファベットの文字数)との違いも分かっていない、※フォニックスも全く理解していないという状況でした。でも、4級合格は可能なのです。
※フォニックス:音とつづりの法則性を理解することにより、①初めて見た単語を発音できる ②耳で聞いた単語をつづれる ことを目的とした学習法です。
この記事を書くきっかけとなったもう一つは、「楽しい割には英語が伸びない」という悩み克服のwebページ上の体験記をいくつか読んだことです。このようなwebページを読む度に、これほど試行錯誤できる人間の思考力や行動力ってすごい!!と心から感心しています。ただ、専門家の記事ではないので問題があると思っていました。
それは、悩みごとの背景にある事情が人それぞれなので、解決法も人それぞれであることがわかりづらいことです。他人の克服体験記は参考にはなっても他の親子には当てはまらないケースが多いのでは?そんな疑問を持ったことが、この記事を書く二つ目のきっかけでした。
そういうわけで、お悩みの根本に迫る上述の二つのポイントに絞ってお話を展開しました。このポイントは、即効性のある治療薬でもなければ、万能薬でもありません。解決策となる良薬は人によって異なるので自分たちで見つけてほしいのです。私のお話したこの二つのポイントを、良薬を見つけるための「地図」のように位置付けてくれたら何よりです。
このお話がお悩みの原因解明に役立ち、生活に合わせた英語学習スタイルが構築され、引いては英語がもっと楽しい!英語がもっと伸びた!につながることを祈ります。英語と共に幸せな将来を歩まれますように!
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